マイケル・ハドソン「文明の命運」p.234

コロナウイルスの大流行が債務危機を加速させ、1945年以来75年間続いた欧米の好景気は、倒産が連鎖し、米国では州や地方の予算不足、家賃や住宅ローンの滞納による立ち退きが迫りつつある中で終わろうとしている。1980年以降の40年間にわたる新自由主義によって、ワン・パーセントは、不動産、産業、これまで公共インフラを独占的に支配することによって、経済をレント、天然資源、独占的な地代を得るための手段に変えることができた。

レンティア層は、その所得と富が社会に利益をもたらすと考える。全体的な「トリクルダウン」のイメージは、潮の満ち引きがすべてのボートを上昇させるというもので、GDPが大きくなればすべての人が豊かになるかのようだ。しかし、批評家はこう言い放った。「証券会社のヨットは見えるが、顧客の船はどこにあるのか?」金融資産の過剰な増加は、貧困の増加と関連している。主に、金融資産は、企業ビジネス、不動産、個人から利息を請求する負債、配当を請求する株式保有という形をとり、消費や固定資本投資支出を犠牲にするからである。その結果、所得と富の二極化が進み、受益者(とメディア)はその分配ではなく、全体のGDPに注目するようになった。

GDPや国民所得の公式統計では、米国経済は成長しているとされているが、この成長は、2008年の銀行破綻以降、5%の富裕層にのみもたらされたものである。オバマ大統領は、被害者の代わりにウォール街の銀行や証券会社を救済する際、ジャンクモーゲージの負債を現実的な評価額まで評価することを拒否し、何百万もの立ち退きが発生した。2008年の暴落に対応するため、そして2020年から22年にかけてのパンデミックの際にも、連邦準備制度は銀行の流動性を支援し、金利を下げるためにお金を作って不動産、株式、債券市場を膨らませた(最終的にはゼロ金利政策に移行した)。FRBは史上初めてジャンク債を購入し、経済再生のために資金を投入することはなかった。この政策により、米国で報告されているキャピタルゲインの75%を占める1%の富裕層が、前代未聞の価格上昇を実現した。2020-22年のパンデミックによって企業が閉鎖され、ほとんどの国民の生活水準が低下したため、裕福な金融層にとって富はさらに高騰したのである。

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「マイケル・ハドソン研究会」としては、
まだ訳していない3つの最近のコラムを訳さないわけにはいかないですね。
1つ1つあまりに長いので躊躇しているのですが、それでは名倒れなので。