マイケル・ハドソン「文明の命運」p.239

I. 経済のセクターを表すモデル

GDP統計では、銀行や債券保有者、不在地主や独占企業のレンティア所得がGDPに占める割合が高まっている。彼らの金利手数料、債務者に対する違約金、不動産や独占的な賃料は、「金融サービス」あるいは地主業や同類の賃料収奪のサービスという形で製品を反映していると報告されている。

これらの支払いにより、賃金労働者や企業が「実体」経済における生産や消費に使える可処分所得は少なくなる。これが、第4章と第5章で取り上げたデット・デフレーションとレント・デフレーションの現象である。したがって、このような支払いは、実質的な生産物を増加させることに逆行するものである。所得者から賃借人への移転支出である。

政府の財政的役割:経済に貨幣を供給し、それを課税して戻す

政府が経済に資金を投入し、それを税金で回収するという循環的な流れが存在する。現代のあらゆる経済の所得と富の分配を分析する出発点は、政府が基本的なサービスや補助金を提供することによって経済にお金を支出し、このお金を吸収するために税金を徴収するというこの関係である。この税金を払うためにそれを受け入れることが、お金に公共的価値を与えている。

アメリカでは、「税金を払って使う党(民主党)」と「借金をして使う党(共和党)」の二大政党制になっているというジョークがある。しかし、政府が支出を賄うためには、借金も税金も必要ない。政府はお金を刷ることができる。これによる物価への影響は、裕福な投資家からの借り入れや国民への課税と同じである。どちらの場合も、お金は使われる。

しかし、財政効果と所得効果は異なる。富裕層から借りても、富裕層が消費や生産支出を控えることはないので、製品価格を下げることはない。しかし、富裕層に金利を支払うと、負債を抱えた政府が金利負担のために経済への財政支出を削減せざるを得なくなるため、確かにデフレになる。