「日印防衛関係」は静かに新たな高みへ

日印「2プラス2」協議、演習、重要軍事装備移転、宇宙での協力拡大で合意

Simran Walia
Asia Times
August 30, 2024

過去20年間、日本とインドの安全保障協力関係は、急速ではないにせよ、着実に発展してきた。最近の重要な防衛会議の結果を考えると、それも変わる準備が整っているのかもしれない。

8月20日、第3回日印外務・防衛閣僚会議(通称「2プラス2」会談)がニューデリーで開催された。

日本の木原稔防衛大臣と上川陽子外務大臣が、インドのラジナート・シン外務大臣とスブラマニヤム・ジャイシャンカール外務大臣と会談した。

インド太平洋地域における中国の軍事力、政治力、経済力の拡大が会談の最重要議題となり、新興パートナー諸国はレトリックを一致させ、新たな一体感をもって防衛協力を強化することになった。

閣僚は声明で、戦略的現状を一方的に変更しようとするいかなる試みにも共同で反対することを表明し、ルールに基づく国際秩序を維持・強化することへのコミットメントを改めて表明した。

美辞麗句の裏には、二国間および多国間の防衛演習をより多く実施することで合意した。特にインドは、インド空軍が主催する初の多国間演習であるタラン・シャクティ演習で日本の戦闘機を歓迎すると述べた。

日本の百里基地で行われた第1回ヴィール・ガーディアン2023を含め、インドと日本の陸海空の3つの軍事サービスはすべて、2023年に二国間演習を行った。

両大臣はまた、日本とインドが2008年10月に初めて署名した安全保障協力に関する共同宣言を「現代の優先事項を反映し、両国が直面する現代の安全保障上の課題に対応するよう」更新・修正することに合意した。協力の優先分野には、サイバーと宇宙が含まれる。

おそらく中国に対してより敏感に反応したのだろう、閣僚はまた、海上自衛隊の「もがみ」型多連装フリゲート艦に採用されている日本の最新レーダー技術のインドへの移転についても話し合った。

さらに両大臣は、通信、電子戦、航行用のセンサーとトランスポンダーを含む日本の「統合複合無線アンテナ」(UNICORN)システム、アンテナマストのインド海軍への輸出についても進展があった。

日本のもがみ級フリゲート艦の艦橋には現在、UNICORNとNora-50統合マストが装備されている。このマストは、戦術データリンク、TACAN(戦術航空航法システム)、通信用の多数のアンテナで構成された角型の構造物である。

UNICORNは、多数のアンテナを重ねることでアンテナのレーダー断面積(RCS)を減らし、システム全体を1つの構造物で囲むことでステルス性を実現している。

日本の木原防衛大臣は、総額 約15億円(1030万米ドル)の無償資金協力でUNICORNの譲渡を承認したと述べた。

インドに供与されれば、日本にとって同基金による2番目の重要な防衛装備品輸出となり、1番目はフィリピンへの航空監視レーダーシステムの輸出である。

インドは、クアッド加盟国のアメリカ、オーストラリア、日本を含む戦略的パートナーから、ハイエンドの軍事技術やその他の技術移転を追求していることが知られている。一方、日本の2022年国家安全保障戦略は、インドとの安全保障協力の拡大を明確に強調している。

インドは「戦略的自治」と非同盟外交の政策を維持しており、いずれも他国との同盟関係を結ぶことを控えている。日本は太平洋主義憲法を維持しており、再軍事化とはますます対立している。

外交面では、4大臣はインドが福岡に新しい領事館を開設する意向であることを協議し、インドの日本における外交ポストの数を3つに増やした。日本は現在、インドに5つの在外公館を置いている。より広範には、双方は2プラス2会談で国連安全保障理事会改革の必要性に合意した。

明らかに、日本とインドは、海洋周辺地域を強化し、地域の戦略的バランスにおいてより積極的な役割を果たそうとする中で、協力、相互運用性、信頼醸成を拡大する強い戦略的インセンティブを持っている。

今問われているのは、芽生えつつあり、ますます実り豊かになっている日印の戦略的関係に中国がどう対応するかである。

シムラン・ワリアはニューデリーにある空軍研究センターのアソシエイトフェローであり、デリーのネルー大学(JNU)で日本研究の博士号を取得中である。JNUで日本研究の修士課程を修了後、デリーのオブザーバー・リサーチ財団に勤務。The Diplomat』、『Indian Defence Review』、『Global Policy Journal』、『Asia Times』、『The National Interest』、『9DashLine』などの雑誌やジャーナルに記事や論文を発表。

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