ペペ・エスコバル「『膠着状態』ではない: ウクライナ戦線崩壊、再考」

ウクライナの前線が全面的に崩壊している証拠は、リークされた報告書を通じて、次々と積み重ねられている。

Pepe Escobar
Strategic Culture Foundation
November 14, 2023

ウクライナの前線が全面的に崩壊している証拠が、リークされた報告書を通じて次々と明らかになっている。

前回は南部ザポロージェ前線に焦点を当てた。 今回は北東部のハリコフに焦点を当てよう。

添付の文書は、完全に真正性が確認されたもので、作戦戦術グループ「スミー」の参謀総長宛の7月の報告書である。

報告書によれば、A7383部隊の3分の2を戦場から撤退させて戦闘態勢を回復させることは不可能であり、残りの3分の1が砦を守ることができないからだ。

それと並行して、新兵募集も非常にゆっくりと進められていた。

4カ月前の時点で、ハリコフの第127独立領土防衛旅団はまだ72%の人員、つまり2392人の兵士と256人の将校を擁していた。しかし、極めて重要なのは、部隊の道徳的・心理的状態が危機的であることだ。

つまり、戦闘態勢の回復については忘れてしまったのだ。前回のケースは、今回のルールの例外とは言い難い。

結論は明白だ。旅団全体が危機的状況に陥っており、ウクライナの前線全体が崩壊しようとしているのかもしれない。

百日間の大失敗

現地の実情は、ロシア軍(RAF)がSMO前線全域で主導権を握っていることを示している。このことはポーランドやエストニアの情報機関でさえ認めている。主戦闘は、ドネツク人民共和国(DPR)のアヴデフカ-マリンカ線と、ルガンスク人民共和国(LPR)のクピャンスク-スヴァトヴォ線で繰り広げられている。

ロシア軍(RAF)は、ウクライナ人を年中無休の絶望状態に追い込むのに十分な人員と武器を保有している。目的は変わらず、ドネツク人民共和国(DPR)とルガンスク人民共和国(LPR)の全土を、その行政境界線内で占領することである。

これと並行して、ロシア安全保障会議の副議長であるドミトリー・メドヴェージェフは、武器と軍事装備の大幅な増産を発表した。メドベージェフは常に、ロシアの防衛産業の能力は前例のないレベルに達しており、しかも予想をはるかに上回るスピードだと強調している。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、ラブロフ外相がここ数カ月にわたって詳述してきたことを繰り返している: キエフとそのNATOハンドラーは、自分たちが戦場で「勝つ」ことはできないし、勝つこともできないことを理解したほうがいい。

西側諸国は、ドンバスとクリミアだけでなく、オデッサ、ニコラエフ、キエフ、そして実質的に他のすべてがウクライナではないことを認めなければならない。

これは、キエフがクリミアとドンバスを指して「領土を失うことなく」NATOに加盟できると発言したアンダース・「フォッグ・オブ・ウォー」・ラスムセン前NATO事務総長に対する鋭い反論だった。

これでメドベージェフは調子に乗った: 「では、何をNATOに加盟させればいいのか、とお聞きになるだろう。」

この分析では、「ロシアがウクライナで進行中の『泥の季節の攻勢』、つまり前線の長さ全体にわたる局地的な攻撃の集まりで何をやっているのか」-ケルソンを除いて-に焦点を当てている。

戦略上、ロシアはウクライナ軍(AFU)が前線全域で圧力を受けている間、自国の膨大な備蓄を一切投入していない。

資金不足、兵器化、西側諸国の「支援」というパーフェクト・ストームがキエフの地平線を暗くしている一方で、ウクライナの現場での連続的な災難はあまりにも明白で、西側の主要メディアでさえ取り上げている。

これは「膠着状態」ではない。

先の分析は、ウクライナの旅団が前線全体で崩壊していることと一致する数ある分析にすぎない。

百日攻勢は、むしろNATOの百日攻勢の大失敗というべきだろう。

この大失敗は、「バイデン・コンボ」政権が今必死に停戦を押し付けようとしている重要な理由である。

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