中東におけるバイデンの「危険な誤算」は地域戦争を引き起こしかねない-テヘラン大学教授


Ekaterina Blinova
Sputnik International
17 November 2023

ジョー・バイデン米大統領は水曜日、国際的な批判やテルアビブによるガザでの地上作戦の継続に対するイスラム世界の反発が高まっているにもかかわらず、イスラエルが最近行ったガザのアル・シファ病院の下にあるハマスの司令部とされる場所への攻撃を支持する発言をした。

テヘラン大学のセイエド・モハマド・マランディ教授によれば、敵対行為の停止を促進しようとしないワシントンの姿勢は、中東を地域戦争の軌道に乗せるかもしれない。

「エスカレートに向かっていると思う。それは避けられないことではないが、その方向に向かっているように見える。そして最終的には、エスカレートしすぎれば、地域戦争に発展する可能性もある。しかし、地域戦争になれば、地域全体のアメリカの資産が標的にされることになるので、アメリカがその方向に進むのは少し難しいだろうと思う。それはイラク、シリア、レバノン、紅海、ペルシャ湾を意味する。それはアメリカにとって勝利ではない。敗北となる」とマランディ教授はスプートニクに語った。

先週、リヤドで開催された臨時のイスラム・アラブ合同首脳会議は、国際刑事裁判所(ICC)に対し、ガザで「イスラエルが犯している戦争犯罪と人道に対する罪」を調査するよう要請し、即時停戦を重視した。

マランディによれば、バイデン政権は、ウクライナでの代理戦争ですでに敗北し、中国との関係を著しく悪化させているため、エスカレーションの可能性に対して脆弱なままである。新たな多面的な対立が、すでに脆弱な状況に拍車をかける可能性がある、と学者は警告している。

「米国はシリアの3分の1を不法占拠しているため、全面的に脆弱である。彼らは石油と小麦を奪って輸出している。代理人が彼らを支援している。だからシリアでは脆弱だ。イラクでは米国に対する怒りと敵意が渦巻いているからだ。イラク全土に米国の基地と権益が存在する。レバノンでは、米国が関与すれば、長期にわたる権益がある。」

同教授はさらに、ガザのハマス政権の保健省によれば、11,000人以上のパレスチナ人の命を奪っているイスラエルの地上作戦に対するイエメンの支持をめぐって、イエメン政府がアメリカに反旗を翻す可能性もあると述べた。

マランディは、大規模なエスカレーションが起きた場合、ペルシャ湾の米軍も標的になる可能性を否定しない。同様に、この地域を経由するエネルギー商品、石油やガスの輸送も影響を受ける可能性があり、世界経済のメルトダウンに他ならないと専門家は述べ、世界経済はすでに悪い状態にあると警告した。

「エスカレーションには段階があると思う。イスラエルとレバノンの国境では、すでに紛争が激化している。ここ2、3日、イスラエルとレバノンは互いに激しく殴り合っている。もちろん、レバノン側よりもイスラエル側の方が、より多くのインフラを有しているため、より大きな打撃を受けている。この応酬で失うものははるかに大きい。つまり、レバノンのインフラが狙われているのだ。南方で戦争をしているときに、彼らの兵士が標的にされている。」

「状況が悪化すればするほど、戦闘は激しくなる。シリアの不法米軍基地やイラクの米軍基地に対する攻撃も増加している。さらにエスカレートすれば、それらはさらに激しくなるだろう。イエメンもある。いろいろなことが起こり得る。1つの段階である必要はない」と彼は続けた。

マランディは、東地中海、紅海、中東における米軍の増強は、エスカレーションを防ぐことはできないだろうと指摘した。10月7日のハマスの奇襲作戦で、イスラエルの市民と軍に対する大規模なロケット攻撃と人質立てこもりが発生したことを受けて、アメリカは前例のない軍備増強に踏み切った。

特にワシントンは、それぞれ約7500人を乗せた空母打撃群2隻、誘導ミサイル駆逐艦2隻、航空中隊9個、兵員4000人を派遣し、すでにこの地域に駐留している約3万人の兵員、数十人の特殊作戦部隊、トマホークを搭載したオハイオ級誘導ミサイル潜水艦(SSGN)を加えた。

それでも、マランディによれば、米軍のプレゼンスが『抵抗の枢軸』を抑制することはないだろう。より広範な地域での対立を止める唯一のものは、ガザでの緊急停戦である、と彼は強調した。

「これを終わらせることができるのは停戦だけだ。それ以外は受け入れられない アメリカの空母はレジスタンスに何の影響も与えない。米国の原子力潜水艦は、意思決定プロセスには何の影響も与えない。そうでないと考えるなら、アメリカ人は自分たち自身を欺くことになる。それは危険な誤算だ。重要なのは、ガザでの戦争が終結することだけだ」とマランディは締めくくった。

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