スコット・リッター「米国防総省が数兆ドルの詐欺である理由」

米国防総省は6回連続で年次監査に不合格となった、 しかし、納税者の金はドブに捨てられ続けている。

Scott Ritter
RT
12 Dec, 2023 15:47

最近、国防総省は6年連続で大規模な年次監査に不合格となり、何兆ドルにものぼるアメリカ国民の税金を管理できていないことを認めた。

この監査は、国防総省の様々なサービスに対する29のサブ監査で構成されており、今年は7つしか合格しなかった。この監査は2017年に始まったばかりで、国防総省はこれまで一度も合格したことがない。

今年の不合格はいくつかの見出しを飾り、主要メディアによって一時的に論評されたが、国防費というブラックホールに金を注ぎ込むことに慣れたアメリカ社会からはすぐに忘れ去られた。

アメリカの国防予算はグロテスクなほど巨額であり、その8770億ドルは、次に国防費の多い10カ国を合わせた8490億ドルを凌駕している。それなのに国防総省は、米国とその同盟国を防衛するためという名目で、米国の税金を投入して築いた3兆8000億ドルの資産と4兆ドルの負債を十分に説明できていない。バイデン政権は来年の国防予算として8860億ドルを要求しているが(議会はさらに800億ドルを追加する用意があるようだ)、1兆ドル近い税金がどのように使われるのかについて、政府、メディア、国民といったアメリカの集団が明らかに無関心であることは、アメリカの体制が全体的に破綻していることを物語っている。

しかし、監査は会計士のトリックであり、一般人にとっては現実とは一致しない帳簿上の数字の羅列である。アメリカ人は、国防費といえば大きな数字を見慣れ、その結果、同様に軍に大きなものを期待している。しかし実際のところ、アメリカの国防体制は、会計士が帳尻を合わせようとしている帳簿の数字にますます似てきている。

アフガニスタンでの20年にわたる軍事的誤算に約2兆3000億ドルを費やしたにもかかわらず、アメリカ国民は2021年8月、同国からの不名誉な撤退をテレビ中継で目撃した。同様に、2003年のイラク侵攻とそれに続く10年にわたる占領への7580億ドルの投資は、アメリカが2011年に撤退を余儀なくされたときに失敗に終わった。全体として、アメリカはイラクとシリアにおける20年間の悪夢に1兆8000億ドル以上を費やした。

この数字は、一般人には無意味なほど大きい。アメリカの国防事業はあまりにも巨大で、帳尻を合わせるなどということは文字通り不可能な使命なのだ。アメリカ国民は、会計上のミスのひとつやふたつは見逃すかもしれない。しかし、国防予算はアメリカの軍事力とイコールであり、アメリカの例外主義につながる国家的価値の認識である。

実際のところ、国防費に対する私たちの無頓着なアプローチは、大規模な不正をもたらした。アメリカ国民は、いわゆる「ルールに基づく国際秩序」を維持するために、世界中に力を及ぼすことができる軍隊という、アメリカ例外主義の概念を前提にした札束を売りつけられたのだ。結局のところ、米軍は国防総省の台帳の数字と同じように空虚な存在なのだ。アメリカ国民は、潜在的な敵対勢力のいずれに対しても大規模な戦争を戦い、勝利することができない組織を買ってしまったのだ。我々はアルカイダ、ISIS、タリバンを倒すことができなかった。北朝鮮やイランのような地域大国はおろか、中国やロシアにも勝てない。それにもかかわらず、私たちアメリカ国民はそのような結果を求めるために何もしていないにもかかわらず、監査に合格することのできないシステムが、魔法のように違う結果をもたらすことを期待しながら、私たちはこの事業への投資を、一見疑いなく続けるだけなのだ。

要するに、国防予算は「定額課金制」に等しいのである。アメリカ国民は、膨れ上がった自己価値観を維持するために必要な結果を出すよう、アメリカ政府に金を払っているのだ。私たちアメリカ人は、グローバルな舞台で最大かつ最凶のいじめっ子であることに慣れてしまい、70年以上にわたって望ましい結果を生み出してきたシステムに金を注ぎ込むだけで、良い時代が続くと思い込んでいる。しかし、説明責任を果たすことなく運営されるよう条件付けされたシステムに資金を投入すれば、買ったつもりの丘の上のピカピカの豪邸が、トランプの家に過ぎないことが判明しても驚かないでほしい。

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