スコット・リッター「イエメンへの関与について、世界をミスリードするアメリカ」

ワシントンは、フーシ派の施設に対する攻撃は防衛的なものであり、完全に合法であると主張しているが、そうではない。

Scott Ritter
RT
17 January 2024

「イエメンでの攻撃は必要かつ適切であり、国際法に合致していた」。この声明で、米国の国連代表は、2024年1月12日夜に実施されたフーシ派武装勢力の標的に対する米英合同軍事攻撃を擁護した。

この発言の皮肉なところは、国連安全保障理事会という、そのような行動を一切承認していない機関の前で行われたことである。

国連憲章は、国際法上、軍事力を行使できる2つの条件を規定している。ひとつは、憲章第51条に明記されている正当防衛である。もうひとつは、国連憲章第7章のもとで決議された国連安全保障理事会の権限によるものである。

英国のキャメロン外相は、イエメン攻撃への英国の関与を正当化する際に国連安全保障理事会を引用し、同理事会が「フーシは紅海での攻撃を停止しなければならない」と「明言」したと主張した。

安保理は、フーシ派による紅海での国際海運への攻撃の停止を要求する決議案を出したが、この決議案は第7章のもとで可決されたものではないため、アメリカもイギリスもイエメンへの攻撃を実行する国際法上の権限はなかった。

米英両国はイエメンへの攻撃において自衛の概念を持ち出し、それによって間接的に国連憲章第51条の下で認知される可能性のある行為を示唆した。ジョー・バイデン米大統領は、攻撃終了直後に発表した声明の中で、イエメンのフーシ派武装勢力に対する米軍の攻撃を正当化した。「この軍事行動を命じたのは、国内外のアメリカ人を守るという私の責任に基づくものだ。」

この主張の最大の問題点は、フーシ派は国内外を問わずアメリカ人を攻撃していなかったということだ。以前、米軍がフーシ派が発射した武器と交戦したことがあったとしても、それはフーシ派の攻撃から非米国の資産(イスラエル国や国際海運)を守るためだった。いかなる状況においても、アメリカはフーシ派に攻撃されたと主張することはできなかった。

バイデンは、アメリカの攻撃は「フーシの将来の攻撃能力を抑止し、弱めるために行われた」と主張した。

この言葉は、米国が国際航路における商業的な海上活動に対する差し迫った脅威を排除しようとしていたことを示唆している。集団的自衛権に関する国際法の要件(米国自身が攻撃されていないため、正当性を主張する唯一の可能性)を満たすためには、米国はフーシ派から攻撃を受けているか、安保理の介入を求めることができないような差し迫った攻撃の脅威にさらされている国家集団の一員であることを証明する必要がある。

2023年12月下旬、アメリカは他の数カ国とともに、2023年11月19日から行われていたフーシ派による海上輸送船への攻撃を抑止するため、「プロスペリティ・ガーディアン(繁栄の守護者)作戦」として知られる軍事力を集結させた。

しかし、米国はその後、自分たちの行動が国際法に合致している、つまり国連憲章第51条に従って行われた集団的自衛権による先制的自衛行為である、と主張しうるあらゆる論拠を台無しにした。

中東での作戦を担当する米中央軍(CENTCOM)は、ワシントンが紅海の船舶を標的にしたと主張するフーシ派のレーダー施設に対する2度目の攻撃を開始した直後にプレスリリースを発表した。

声明は、フーシ派のレーダー施設に対する攻撃は、1月12日に実施された攻撃の「後続行動」であり、「紅海、バブ・アル・マンデブ海峡、アデン湾で活動する20カ国以上の防衛連合である『プロスペリティ・ガーディアン(繁栄の守護者)作戦』とは無関係であり、それとは別のものである」と主張している。

「プロスペリティ・ガーディアン(繁栄の守護者)作戦」から距離を置くことで、アメリカは国連憲章第51条に基づく先制的集団的自衛権の概念を致命的に損ない、イエメンに対する軍事攻撃の一方的で本質的に違法な性質を浮き彫りにした。

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