マイケル・ハドソン「文明の命運」p.260

新自由主義的な買収に抵抗する国に対する新冷戦

不労所得から解放された経済を生み出すという産業革命の固有の論理と運命と思われたものは、税制や規制政策を必要とした。現在では、各国がインフラを民営化し、経済計画を米国やその他の銀行に委ね、米国の「ルールベースの秩序」によって国際的に支援されたレンティア階級の手によって経済を分極化するという米国の要求によって逆転している。

新自由主義者にとって「自由市場」とは、レンティア階級を経済の計画機関にすることである。政府がこの買収に抵抗すれば、「独裁国家」だと非難される。まるで、「民主主義」というレッテルをこのような国に貼ることはできないかのようである。あたかも、レンティア層が経済的利益を独占することが、産業革命後の経済進化の段階において自然であり、効率的ですらあるかのようである。新自由主義が、その支配に抵抗する国々に対して、世界征服のための伝道活動として自らを提示する根拠は、この点にある。

しかし、中国の産業的成功は、金融化、民営化、独占的レントが自然法則ではないことを示している。そして、債務デフレ、基本的ニーズの民営化、それに伴う富と所得の二極化が起こる必要はないことも。各国がレンティアーのリードに従う必要はないという認識は、最終的に米国を基盤とする世界秩序を脅かすものである。天然資源のレントや通貨・信用システムのレンティア支配に反対する強い政府を孤立させることが、今日の新冷戦の貿易・金融制裁と米国が主導する「ルールベースの秩序」の本質である。