マイケル・ハドソン「文明の命運」p.258

住宅、教育、医療といった基本的なニーズが金融化されたことで、生活コストは非常に高くなり、仮にアメリカ人全員が衣食住といった物理的な消費財を無償で与えられたとしても、中国や金融資本主義に負担をかけるレンティア料を最小限に抑えた他の国には太刀打ちできないだろう。

中国はどのようにしてアメリカの金融病を回避したのか

1. 中国は、自然独占企業や主要インフラを民営化する代わりに、最も重要な公共事業である銀行を筆頭に、「司令塔」を公共領域に置いている。中央銀行である中国人民銀行は、高速鉄道、学校、交通システム、研究所などの有形投資に対して信用供与を行い、生活やビジネスのコストを抑えている。

2. 中国は高賃金経済政策を追求している。質の高い教育と医療基準を提供することで、労働者の生産性を高め、低賃金だが生産性の低い労働者や高オーバーヘッドのレンティアエコノミーの労働者を引き離すことができる。

3. 社会主義経済として、中国はレントシーキングや利潤を求める銀行から自らを解放することを目指し、自己中心的なレンティア・アジェンダを持つ独立した金融寡頭制が出現しないよう、十分に強力な政府規制を行ってきた。まだ達成されていないのは、土地レントを筆頭とする富裕層の所得を中心に課税する累進課税政策である。

4. 中国とロシアは、米国をはじめとする貿易・金融制裁やそれに関連する混乱から身を守るため、米ドルとSWIFT銀行決済システムを使用しない代替の国際決済システムを構築しつつある。通貨システム、対外貿易、投資の脱ドル化政策には、食料生産、技術、その他の基本的なニーズにおける自給自足の確保も含まれている。

レンティア特権を擁護し、外国の改革に反対する米国

新自由主義は、かつて欧米で提唱された古典的・進歩的なイデオロギーを攻撃するものである。レントシーキングに対する財政的・規制的なチェックは、レンティアによる国家経済の乗っ取りに対する存亡の危機であると考え、米国は金融化と民営化に抵抗する中国やその他の国々を孤立させようとする。

---
来週から1週間ほど、京都へ行くことにしました。
3年以上ぶりの京都です。