NTTとKDDIが提携し、6Gの世界標準を目指す

国内大手通信事業者、現在の125倍の伝送容量を目指すオールフォトニクスネットワークの開発に着手

Scott Foster
Asia Times
March 20, 2023

日本の通信事業者トップ2であるNTTとKDDIは、モバイルおよび光ネットワークにおいて、伝送容量を125倍、エネルギー効率を100倍、エンドツーエンド遅延(レイテンシー)を200倍削減することを目指す新しい通信技術の開発に協力することになった。

成功すれば、「6G」通信の世界標準となる可能性がある。

両社は、日本の通信研究開発の先頭を切って、モバイルネットワーク、光通信、ネットワーク運用管理の各分野の強みを結集し、欧米、韓国、中国の競合他社に対抗していく計画である。

まず、国内基幹伝送路用の大容量光通信システムおよび国際長距離伝送用の大容量光海底ケーブルシステムの開発で協業する予定だ。KDDIは、海底ケーブルに関する豊富な経験を生かし、共同開発を行う。

今後、KDDIは、海底ケーブルの豊富な経験を生かし、世界中の企業とともに、オールフォトニクスネットワークの標準化と新技術の開発を進めていく。

「Beyond 5G/6G時代」と呼ばれるデータ量の加速に伴い、伝送容量や処理速度の向上、消費電力の低減、ネットワークの互換性などが求められている。

そこで、3月17日にNTTとKDDIが発表した基本合意書では、以下の3つの目標を掲げている:

  • オールフォトニクスネットワークの伝送方式の標準化
  • 移動体通信におけるオールフォトニクスネットワークの標準化
  • オーケストレーション技術の標準化

オールフォトニクスネットワークは、信号を光から電気に変換して戻す必要がないため、低消費電力と低遅延を特徴としている。しかし、光ファイバーや光増幅器における光波長の割り当ての改善や伝送品質の劣化を抑えるための作業が残されている。

全光学技術をモバイルネットワークに適用するために、標準化を進める。両社は、基地局を含むコアネットワークとエッジおよびクラウドデータセンターをオールフォトニクスネットワークで接続することを計画している。

また、ネットワーク監視・制御(オーケストレーション)技術を標準化することで、マルチベンダーシステムにおける高信頼性光ネットワークの実現を目指す。

KDDIも参加しているNTTの「Innovative Optical and Wireless Network (IOWN) Global Forum」を活用し、本構想を推進する。同フォーラムは、技術系企業を中心に、学術機関や政府機関など、世界で100以上のメンバーが参加している。

2019年にスタートしたIOWNは、「光学に特化した革新的な技術や膨大な計算資源を活用した高速・大容量通信を実現できるネットワークや端末を含む情報処理インフラの構想であり、2024年の仕様確定、2030年の構想実現を目指して、我々(NTT)は研究開発を開始した。」

IOWNは、(1)オールフォトニクスネットワーク、(2)デジタルツインコンピューティング、(3)ネットワーク内の情報の処理・流通を最適化する「コグニティブ基盤」という3つの大きな技術面を持っている。

オールフォトニクスネットワークは、光技術と、光と電子を1つのデバイスに融合させたNTTのフォトニクス・エレクトロニクス融合技術により、情報処理基盤を改善するものである。

NTTとKDDIは、この技術を国際電気通信連合の電気通信標準化部門(ビューロー)で標準化することを目指す。国際電気通信連合(ITU)は、情報通信技術に関する国連の機関である。

ITUの電気通信標準化部門(ITU-T)は、世界中の専門家を集め、ITU-T勧告と呼ばれる国際標準を策定している。もちろん、標準規格は相互運用性に欠かせないものである。ITUはそのウェブサイトで次のように指摘している:

「国際ICT(情報通信技術)標準は、優先される技術をめぐる高価な市場争いを回避し、新興市場の企業にとっては、新しい市場へのアクセスを提供する公平な競争条件を作り出す。国際ICT規格は、発展途上国のインフラ整備や経済発展に欠かせない援助であり、規模の経済を通じて、メーカー、事業者、消費者のすべてにとってコスト削減につながる。」

また、官僚の押し売りの対象にもなっている。

昨年9月、尾上誠蔵氏がITU-T初の日本人ディレクターに選出された。尾上氏は以前、NTTのモバイル部門であるNTTドコモのチーフ・テクノロジー・アーキテクトやNTTのチーフ標準化戦略オフィサーを務めていた。

尾上氏のITU-T理事としての任期は2023年から2026年までで、6G通信の規格策定と重なるはずだ。一般に6Gの商用化は、NTTのIOWNのスケジュールに合わせて2030年頃と予想されている。

そのため、日本の規格が優先される保証はないが、尾上の存在がその可能性を損なうことはないだろう。

NTTは16日、日本の法人顧客向けに最初の商用IOWNサービスの提供を開始した。日本の報道によると、この技術はすでに、遠隔ロボット手術に使用した医師から賞賛されている。その他、自律走行車の制御やEスポーツなどにも応用できる可能性がある。

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