マイケル・ハドソン「超帝国主義」p.393

米国の覇権を固定化するために国際法の書き換えを求めたダニエリアン報告書

1972年春、国際経済政策協会は『米国の国際収支:危機から論争へ』という報告書を発表した。主執筆者のN.R.ダニアンは、外国人が「アメリカのインフレが進むにつれて価値が下がる『紙』と引き換えに現実の財やサービスを提供することに反感を持つようになった」と認識していた。しかし、アメリカから見れば、このシステムの強みは、このような外国からの反発にもかかわらず、アメリカに対して策略をめぐらす余地がほとんどなかったという事実にあった。ヨーロッパ諸国は、オール・オア・ナッシングのジレンマに陥っていた。自国を守る唯一の方法は、アメリカ経済と完全に決別することだった。第二次世界大戦のレンドリース交渉や1946年の英国ローンにおいて、英国を米国の要求に屈服させたのは、まさにこの脅威だった。

1971年のドル危機は、外国経済が米国の輸出品に対する関税を引き下げる可能性がほとんどなかったため、これ以上の世界的な関税引き下げを阻んだ。「主要貿易通貨に対するドルの平均11%の切り下げは、米国による平均10%の関税引き下げを事実上否定した。また、金融交渉を貿易問題の議論と結びつけることにも反対している。」