「文明の命運」p.5

金融の二極化への対応は、システムの全面改革が必要

社会システムは、自分で行動する個人とは異なる。社会システムを変えるには、単なる些細な変化ではなく、システムの全面的な改革が必要である。ポスト金融経済を作るには、債務の削減、経済レントに課税する税制改革、独占レント追及を防ぐための公共インフラ投資が必要である。適切な関係におけるこれらの変化は必然的に体系的であり、時間の経過とともに安定性を維持するために、補完的な金融および法的な改革を必要とする。このようなシステムの変更は、調和的に行われなければならない。これらは、異なる時期に一つ一つ導入することはできない。それが本当の改革を「革命的」にする。

主流の経済学は、この点でお手上げで、構造的な問題を「外因性」、つまり枠組みの範囲外であると言う。これらのモデルは、一般の人々がその愚かさを見るのを阻止するために、複雑な数学で覆われ、現実世界の負債と財産のダイナミクスを説明するのを避けるために視野狭窄を押し付ける。

ある国の経済的な道筋はあらかじめ決まっていないが、積極的な政策決定の影響を受ける。それが、古典経済学者が彼らの学派を政治経済と呼んだ理由だ。政治的文脈は、改革者だけでなく、不労所得層の反対者によっても形作られている。なぜなら、構造改革は既得権益が反撃することなく起らないからだ。米ドルが財務省証券の標準のもとで、主要な世界通貨として使われている国際的な場で、米国は、貿易依存国とドル債務者による、搾取的で二極化する外交を減らそうとする試みに抵抗する。改革者を「カラー革命」と政権交代で脅かす米国の政策は、独裁で傀儡の政権を設置することであった。これは、新自由主義的なワシントンのコンセンサスを支持する限り、「自由世界の民主主義」と「ルールに基づいた秩序」の一部として称賛された。

ドル標準と金融資本主義のダイナミックを拒否するには、経済レントの私有化と略奪的な金融を避けるために組織された代替経済が必要だ。出発点は、稼得収入(賃金と利益)と非稼得の間接収入(経済レント)の区別を認識しなければならない。また、金融資本主義が、何よりも米国の工業経済に対して権力を獲得し、そこから自らの権力を世界的に拡大しようとする方法も認識しなければならない。金融化された米国経済に率いられた今日の新冷戦は、全世界にレントベースの金融資本主義を押し付ける戦いである。それには、外国の経済改革を阻止する必要がある。