マイケル・ハドソン「超帝国主義」p.37

21世紀初頭、欧米諸国では新たなグローバル・プランニングが始まっている。それは、第二次世界大戦後に予想されたような複数の政府によるものではなく、ある特定の政府、つまりアメリカ政府によるものである。第二次世界大戦末期に構想された国際貿易機関とは異なり、今日のWTOは、世界の労働力を向上させるのではなく、貿易から得られる利益を米国に移転させる方法で、金融投資家の利益を促進している。アメリカの支配機構は、産業至上主義ではなく、金融化された脱工業化経済のものであり、その不兌換通貨は世界の通貨システムの基盤であり、無制限に財政収支の赤字を出すことができる。

最も根本的なレベルとして、今日のアメリカ超帝国主義の戦略は、自国の金融化された経済をドル化された世界全体に拡大することにある。なぜなら、金融資本の目的は、労働者を雇用し、生産性と生活水準を向上させる有形資本投資から利益を得ることではなく、むしろ、土地、天然資源、独占から経済的レントを引き出すことなのである。だから、金融資本は、世界中で、レントを生む資産を公有地から切り離す民営化を支援する。

関連する債務超過の効果は、産業資本主義のダイナミズムを後退させ、レンティア経済を生み出すことであり、まさに古典派経済学者とその社会主義的後継者が避けたいと願っていたことである。

この世界システムの悲劇的な欠陥は、米国を中心としたレンティア負担の下で世界が足踏みしている間に、債務国と債権国の経済を同様に引き裂く内部債務と信用収縮である。

この転移する金融のダイナミズムは、単に多国間世界秩序に移行することで克服できるものではない。米国中心のシステムが生み出した膨大な債務の重荷に対処しない限り、経済的自由を取り戻すことはできない。そのためには、1931年に連合国間の債務とドイツの賠償金の支払いを停止したように、債務を一掃する必要がある。

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明日から、第1章の翻訳に入ります。
さすがに丸一冊翻訳して公開するのは気が引けるので、第1章以降は、1週間程度の公開の後、非公開にしていく予定です。
ご理解のほどよろしくお願いいたします。