アメリカを待ち受ける「成長不況」

雇用統計は、FRBの政策が労働市場を冷え込ませており、低成長の経済的苦痛が待ち受けていることを示唆している

Christopher Decker
Asia Times
April 8, 2023

最新の雇用統計が発表され、良いニュースは、インフレに対する連邦準備制度の政策が機能しているように見えることだ。悪いニュースは、インフレに対する連邦準備制度の政策が機能しているように見えることである。

2023年3月の雇用統計は、米国経済が月間で236,000人の雇用を増やしたことを明らかにし、ほぼ予想通りであった。

米国中央銀行の景気減速とインフレ抑制の努力がようやく労働市場に効いてきたようで、一部の企業が事業費増加の影響を感じているなど、トレンドが生まれつつあるようである。

金融政策決定者の神経は落ち着くだろうが、少なくとも職を失う人々にとっては、この先、経済的な痛みが生じるという見通しがある。また、経済全体にとっては、「成長不況」という、ちょっと歓迎できない現象が起こる可能性もある。

成長不況とは何か?

成長不況とは、経済が0.5%から1.5%の低成長期に入り、失業率の上昇や個人消費の減少など、不況の兆候も見られるようになることで、長期化することを言う。

景気はまだ拡大しているが、一般の人々には不況と同じように感じられるかもしれない。経済学者の中には、2002年から2003年にかけては成長不況であったと考える人もいる。

今のところ、雇用市場はまだ比較的堅調だ。3月の失業率は、前月の3.6%から3.5%へとごくわずかに低下している。

事実上、雇用の増加という点では、まだ健全な増加であるにもかかわらず、雇用の減速を示唆している。3月の雇用者数は23万6千人で、2月の32万6千人、1月の47万2千人から減少している。

この減速は、以前から予想されていたことであり、他のデータからも示唆されている。銀行の倒産やハイテク企業の解雇など、目を引くような見出しも減速を示唆している。

他のデータも、さらなる雇用の苦しみが訪れることを示唆している。労働統計局が発表した2月の求人数と労働移動率は、2021年5月以来初めて1000万人を下回り、求人数が1180万人でピークを迎えた2021年12月以降、減少傾向にある。

一方、米国国勢調査局は最近、2023年2月の製造業新規受注が0.7%減少したと発表した。過去4ヶ月のうち3ヶ月で新規受注が減少しており、それ以前は受注が伸び悩んでいた。

セクター別では、建設業が9,000人減、製造業が1,000人減と、両セクターとも金利上昇の影響を受けやすいため、予想通りの減少となっている。

このような減少は、今後数ヶ月間続く可能性が高い。

他のセクターは大幅な上昇を記録した。医療サービスは50,800人増、レジャーは72,000人増となった。しかし、これらの上昇幅は前月に比べればまだ小さい。

これがFRB政策に意味するもの

この報告書は、インフレ率が依然として目標の2%を大きく上回っているにもかかわらず、景気を減速させるためのFRBの措置が機能していることを示唆しているようである。

私は、この報告書がFRBの政策を大きく変えることはないだろうと考えている。実際、インフレを抑制するために積極的な利上げを行うという1年来のキャンペーンが功を奏しているように見える。

これを証明するデータがゆっくりと滴り落ちることで、金融政策担当者はいわゆる「ソフトランディング」を実現するために経済を管理することができる。

もし4月の雇用統計が3月と同じような内容で、これから5月の発表までの間に異常な出来事がなければ、FRBは金利を非常にゆっくりと、おそらくさらに1/4ベーシスポイント引き上げると予想する。

年明けの経済がどうなるかは、時間が経ってみなければ、そしてもっと多くのデータが出てみなければわからない。しかし、私の見るところでは、景気は秋までに下降に転じるように見える。

問題は、それが穏やかな景気後退(景気縮小期を含む)の形をとるのか、それとも私が思うに、低成長の景気後退となるのか、ということである。いずれにせよ、多少の痛みは伴うだろう。

クリストファー・デッカーはネブラスカ大学オマハ校の経済学教授である。

この記事は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下、The Conversationから転載されたものです。

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