ポール・クレイグ・ロバーツ「終わらない戦争の代償を払うプーチン」


Paul Craig Roberts
2023年6月24日

プーチンは、1週間で終わるはずの紛争を16カ月も放置したのだから、その責任は重大だ。 しかし、プーチンは侵略者というレッテルを貼られるのを避けたかったため、戦闘をロシアのドンバスに限定した。 プーチンが「限定的な軍事作戦」を装って作り出した勝ち目のない状況に嫌気がさした民間軍事集団と戦い、戦争が拡大し続ける状況を作り出したのだ。

プリゴジンがクーデターを意図しているとは思えない。 おそらく、ロシア軍上層部に対する抗議だろう。将軍たちはプリゴジンを嫌っている。なぜなら、プリゴジンは自分と自分の軍隊を将軍たちの指揮下に置くことを拒否しているからだ。 ワグナー・グループはロシアがドンバスで戦っている主要な軍事力であるため、ロシア軍将兵にとって、戦っている部隊の指揮官と悪い関係を築くのは愚かなことだ。 私が疑問に思うのは、プーチンはプリゴジンの意図について正直な説明を受けているのか、それともプリゴジンと将軍たちの決着をつけるための説明を受けているのかということだ。 プーチンにとっては、この問題は片付かなければならない問題に過ぎず、そこから学ぶことに失敗するかもしれない。

プーチンのこの紛争の進め方は、決して理にかなっていない。 プーチンは、戦争を終結させるために十分な武力を行使することを拒否することで、ワシントンとNATOを巻き込むまでに戦争を拡大させ、ワグナーグループ司令官や、私が知る限りではワグナー部隊の信頼を失ったようだ。

プーチンもクレムリンもロシア軍も、戦争は速やかに勝利しなければならず、その継続は多くの災いをもたらす無限の機会を提供するということをどうして理解していないのだろうか。

クーデター未遂の可能性もある。 証拠が乏しいので、ロシアの前線を混乱させるための外部からの演出か、プリゴジンを排除するための内部での演出かもしれない:

その日のうちに、ワグナー陣営に「ミサイル攻撃」が行われ、その攻撃は「後方から、つまりロシア国防省の軍によって行われた」と主張するワグナー軍とプリゴジンのものとされる映像と音声がネット上に出回った。プリゴージンのものとされる音声は、国防省の指導者の更迭を要求しているように見えた。この映像と音声はすぐにウクライナとアメリカの国営メディアに取り上げられた。彼らはここ数週間、プリゴジンのロシア将官批判を大きく報道している。

https://sputnikglobe.com/20230623/russian-ministry-of-defense-denies-media-reports-of-strikes-on-wagner-positions-1111429344.html

将軍同士が共謀するのは珍しいことではない。 アメリカの将軍たちはパットンと共謀した。ドイツの将軍はロンメルと共謀した。南軍のフッド将軍はジョンソン将軍と共謀し、シャーマン将軍にアトランタを奪われた。 例を挙げればきりがない。

考えてみれば、最前線の軍隊が遠く離れた首都に対してクーデターを起こすことができるだろうか? 戦線を離脱すれば、敵が押し寄せてくる。 しかも、首都に到着する前に航空戦力で阻止されることもある。

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