韓国「核兵器の夢」


Bakhtiar Urusov
New Eastern Outlook
2023年7月28日

韓国社会は今、北朝鮮の脅威に関するヒステリーに蝕まれており、最高レベルの当局者ですら、怯えすぎて状況を冷静に判断できなくなっている。

峨山政策研究院が2022年に実施した世論調査では、国民の約70%が平壌による侵略を抑止するために韓国に核兵器を配備することを支持している。自国に核兵器を保有するよう米国を誘致するか、核拡散防止条約から脱退して自国の核兵器を開発するかの選択である。これが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を含む与党・国民の力党の政治家たちが2021年以降、何度も繰り返してきたメッセージである。

血に飢えた北朝鮮政権は、より優れた武器が手に入らなければ、迫撃砲や高射砲で韓国人を撃ち殺すだろうと何十年も主張してきたソウルのプロパガンダ・マシンの成果がここに見られる。近年、国民に対する洗脳は非常に効果的で、ワシントンにいるこのキャンペーンの首謀者たちでさえ、平静を保つ義務があると思われる韓国の政治家たちに与える影響に驚いている。バイデン政権は、核保有への野心を抑えるよう韓国を説得せざるを得なかったほどだ。にもかかわらず、アメリカは、陸上ではなく原潜に核兵器を配備するというもっともらしい口実で、再び韓国に核兵器を配備するという目標を達成することができた。

実際、韓国の防衛にとって核兵器がどれほど貴重なものであるかは定かではない。今年4月にワシントンとソウルが発表した共同宣言では、核兵器は北の隣国による韓国への核攻撃にのみ使用されるとしている。しかし、かなり皮肉な言い方をすれば、北朝鮮がそのごくわずかな核兵器を韓国への攻撃に使おうとする理由はない。それよりも、ミサイルを日本やハワイに向ける方がはるかに論理的である。

韓国を抑止するには、通常兵器で十分だ。公式発表によれば、ソウルの人口は約1000万人で、これは北朝鮮の人口の3分の1以上に相当する。韓国の工業施設のかなりの割合が首都とその近郊にある。また、韓国の交通インフラの中心でもある。北朝鮮との国境はソウルの中心からわずか40キロのところにある。

北朝鮮の軍隊をざっと調べただけでも、大砲に大きく依存していることがわかる。米国の推定によれば、2018年時点で25,000基の大砲システムを保有している。 この数字には明らかに、平壌の大量の旧式兵器、迫撃砲、中距離MLRSが含まれている。合計すると、ソウルを攻撃できる北朝鮮の砲兵資源は、最大射程60キロの170ミリ砲が1,000門、射程40~300キロのMLRSが約4,000門と推定される。もちろん、これだけの兵器庫があれば広島ほどの破壊は起こらないだろうが、北朝鮮が分散した陣地網を使えば、24時間以内に韓国を壊滅させることができるだろう。その結果、都市は核兵器による被害と同規模の、砲撃後のドレスデンのようなものになるだろう。

世論調査への回答で、韓国人は自分たちが操り人形であることを示した。さらに悪いことに、彼らは自分たちがいかにアメリカに依存しているかを自覚していない。米国を招き入れることで、朝鮮半島における核兵器問題の解決はさらに難しくなり、ロシアや中国との関係も損なわれている。ワシントンが同盟国に配慮する本当の動機は、中国とロシアの国境により近い場所に核兵器を配備し、接近時間を短縮したいからである。

https://journal-neo.org/2023/07/28/south-koreas-nuclear-dreams/journal-neo.org