マイケル・ハドソン「超帝国主義」p.394

アメリカの決済改善の主な見込みは資本勘定にあると思われた。アメリカ企業の海外関連会社は、その収益の多くをアメリカ本社に送金するかもしれないし、海外投資家はアメリカへの出資比率を高めるかもしれない。フランスのメンデス=フランス元首相は、ヨーロッパが余剰ドルを使ってヨーロッパにあるアメリカの関連会社を買い戻すことを提案した。彼が指摘するように、いくつかの前例がある。イギリスもフランスも、2つの世界大戦に関連した公的対外債務をアメリカに支払うために、海外の民間資産を徴発せざるを得なかったからだ。自動車労組のある幹部は、国際収支の累積赤字の解決策として、まさにこのような提案をしている。

しかしアメリカは、ヨーロッパのドル保有に対してそのような見返りを与えるつもりはなかった。それよりも念頭にあったのは、ダニエリアン・レポートが提言した、100億ドルから200億ドルの外国公的ドル保有を長期(できれば市場性のない)財務省債券に転換すべきだということだった。これにより、これらの保有資産はほぼ不胎化された資産となる。

報告書は、他国が貿易障壁、特に農業障壁を削減することに「道義的正当性と経済的論理性の両方」を見出している。各年に米国で購入される食料品が10億ドル分増えれば、在ヨーロッパ米軍の国際収支コストを中和することができる。こうしてヨーロッパは、飼料用穀物をアメリカの農家に依存することで、自国の軍事依存を賄うことになった。

アメリカの政策立案者たちは、たとえドルが切り下げられ、外貨の価値が強制的に引き上げられたとしても、また東南アジアの和平の可能性とは無関係に、アメリカの支払い赤字が毎年60億ドル以上のペースで続くことを、ヨーロッパの相手国が認識していることを知っていた。「軍事作戦を大幅に縮小して海外にある施設を閉鎖するか、扶養家族(兵士の海外同行)を禁止することでしか、国際収支における総軍事支出を管理可能な割合まで減らすことはできない。後者は徴兵や再入隊に深刻な影響を与え、前者は国益に大きな政治的・軍事的影響を及ぼす。」また、ニクソン大統領の希望であった全軍志願制も、少なくともヨーロッパに米軍が駐留する状況下では、阻止されることになる。報告書は、政府は先験的に、年間60億ドルの支払い赤字が続くことを受け入れるべきだと結論づけた。