マイケル・ハドソン「超帝国主義」p.407

アメリカの新聞各紙は、ドルの苦境を多国籍企業とアラブの石油首長のせいだと非難した。2月12日、関税委員会は、アメリカの多国籍企業が2680億ドルの流動資産を保有していると報告した。この金額の多くは、在庫、債権、関連会社や他の企業に対する短期債権であり、したがって通貨投機には利用できないが、これらの短期資産の通貨形態がわずか5%変化するだけで、世界の通貨危機を引き起こしかねないという印象を与えた。

もちろん、これらの企業の手元にある資金があまりにも大きいため、通貨切り上げ候補国に手形を先払いしたり、通貨切り下げの機が熟していると思われる国に手形を遅配したりするだけで、国際的な不安定を引き起こす可能性があったことは事実である。国際的な企業は、ある通貨から別の通貨に預金をシフトさせることができたが、ほとんどの企業は企業の財務担当者が投機家として行動することを望まなかった。多くの企業や銀行がこのようなことをして大やけどを負い、ほとんどの大企業は、悪い通貨市民のような行動をとれば規制がかかるかもしれないと恐れていた。

誰もが自分のお気に入りの悪役を持っているようだった。アラブ諸国に恨みを持つ人々は、クウェート首長が25億ドルの保有資産のほとんどを金とハード・カレンシーに変えたという噂を鵜呑みにした。フランツ・ピックはロシアを非難し、その銀行がドルに対する大規模な投機から利益を得ていると非難した。ドルに対する大規模な投機から利益を得る動き。企業、アラブの首長、そしておそらく共産主義諸国によるドル離れが、あたかもアメリカ政府が無実の傍観者であるかのように、アメリカの国際収支問題の主な原因として描かれた。

アメリカ政府高官は、さらなる切り下げ、金融緩和、資本規制撤廃の必要性について、扇情的な発言を続けた。ポール・ボルカーは、パリで開かれたアメリカ銀行協会の会議で演説し、IMFに「非常に高度な裁量権を与えることには懐疑的だ」と述べた。