「習近平の米国訪問」は投資誘致が最優先課題

習近平は公式の対立解消に時間がかかると認識し、米国産業界の重鎮と会食する予定

Jeff Pao
Asia Times
November 9, 2023

中国とアメリカの首脳は11月15日に直接会談し、貿易戦争、技術禁止、地政学的問題、台湾問題について話し合う。

中国外務省が水曜日に発表したところによると、両首脳は11月15日から17日にかけてサンフランシスコで開催されるAPEC首脳会議の傍らで会談するという。

習近平国家主席とジョー・バイデン米大統領は、2022年11月14日にインドネシアのバリ島で最後に会談している。

ブルームバーグが水曜日に報じたところによると、習近平の来週の歴訪中、11月15日にはアメリカのビジネス界のトップが習近平との夕食会に招待される予定だという。

習近平はこの機会を利用して、今年資本流出に苦しんでいる中国への投資を米企業に呼びかけると見られている。

習主席との晩餐会

習近平は主賓として、米中関係全国委員会と米中ビジネス協議会が共催する晩餐会で主要なスピーチを行う。

参加者はそれぞれ2,000米ドルを支払って出席する。8人のVIPは習近平とテーブルを囲むことができ、その費用はそれぞれ40,000米ドルである。

「中米関係は世界で最も重要な二国間関係である。中国とアメリカがどのようにうまくやっていくかは、人類の未来を左右する」と習近平は10月9日、北京でチャック・シューマー院内総務率いる米上院の超党派代表団に語った。

「私はこれまで何度も、何人もの大統領を含めて、中米関係を改善する理由は千差万別だが、破滅させる理由は一つもないと言ってきた」と述べた。

習主席の発言は、今年1~9月の中国の対外直接投資(FDI)が前年同期比14.7%減の約1,329億米ドルとなったことを背景に行われた。

中国商務省は8月以降、ドル建てでの対外直接投資の公表を停止している。14.7%の減少は、アジアタイムズが人民元ベースの直接投資で計算した推定値である。

また、国家外為管理局(SAFE)が11月3日に発表したデータによると、FDIの指標となる直接投資負債は、前年同期の141億ドルに対し、第3四半期はマイナス118億ドルだった。

四半期ベースでマイナスとなったのは1998年以来で、中国が外国企業や投資の誘致に苦戦していることを意味する。

前途多難

中国外交部の汪文斌報道官は2日のメディアブリーフィングで、「双方はサンフランシスコでの両首脳会談に向けて協力することで合意した」と述べた。

「一方、サンフランシスコまでの道のりは順風満帆ではないし、自動操縦に任せることもできない。双方は、バリで両大統領の間で合意されたことに立ち返り、それに基づいて真に行動する必要がある」と同報道官は述べた。

北京から見れば、アメリカはこの1年間、習近平とバイデンがバリ会議で達成したコンセンサスの履行に失敗している。北京はこのコンセンサスを「5つのノー」と「4つの意図しないこと」と表現した。

「5つのノー」とは、米国が新たな冷戦の開始、中国の体制変更、対中同盟の活性化、台湾独立の支持、2つの中国や「台湾に1つの中国」の支持を求めないというバイデンの約束を指す。また「4つの意図しないこと」とは、アメリカは中国と対立するつもりはなく、中国とのデカップルを目指すつもりもなく、中国の経済発展を妨害するつもりもなく、中国を封じ込めるつもりもないということである。

バリでの会談以来、中国政府高官は繰り返し、アメリカは中国の「合理的な懸念」あるいは「5つの要求」を満足させなければならないと述べてきた。その要求とは、アメリカが中国製品に課した追加関税の取り消し、中国企業に対する制裁、中国のハイテク部門に対する投資制限、半導体の輸出規制、アメリカが課した新疆ウイグル自治区製品の輸入禁止などである。

「サンフランシスコでの米中首脳会談を実現するためには、アメリカは中国の一連の妥当な懸念と要求を満たさなければならない」人民解放軍の退役軍人であるバオ・ミンは、火曜日に掲載された記事の中でこう語っている。

「約束を守れなかったのは中国ではなくアメリカだ」と彼は言う。

しかし、バイデンがどこまでやれるかについては、政治的な制約があることも認識している: 「バイデン政権は中国との関係を改善しようとしてきたが、国内の強い抵抗に直面した。」

バオ氏によれば、バイデン氏が貿易、ハイテク禁止、台湾、ウクライナ、南シナ海問題などで姿勢を軟化させるのは、共和党や民主党からの大きな政治的圧力のために難しいとのことだ。

「真珠湾事件や9.11事件に匹敵するような大きな緊急事態だけが、バイデンが政治的障害をクリアし、中米間の共通の利益をその違いを上回るものにするのに役立つのだ」と彼は言う。

また、大規模な地域戦争に発展しかねないパレスチナ・イスラエル紛争は、中国とアメリカが互いに協力し始めるきっかけになりうるという。

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