「サブサハラ・アフリカの政治情勢を不安定化」する先端技術の悪用


Konstantin Pantserev
Valdai Club
9 January 2024

平和と安全の確保という問題は、アフリカ諸国が直面する重要な課題のひとつであり続けている。アフリカにおける抗議行動は、その性質も激しさもさまざまである。さまざまな派閥の間で長期にわたる内戦に発展した国もあれば、犠牲者を出さずに済んでいる国もある。

私たちは、アフリカ大陸におけるすべての紛争を4つのカテゴリーに大別することを提案する:

1.民族間紛争-これらの紛争が発生するのは、まれに例外があるにせよ、ほとんどすべてのアフリカの国家が非常に多民族であり、特定の領土に住む部族や民族が時として解決不可能な矛盾を抱え、武力によって解決されるという事実によるものである。

2. 国境紛争-アフリカを分割する際、ヨーロッパの植民地支配国はアフリカの様々な民族の古くからの領土間の境界を考慮に入れなかったため、ほとんどの場合、アフリカ諸国の国家国境は部族や民族の境界と一致しないという事実によって引き起こされる。

3. 3.宗教紛争-通常、イスラム原理主義や過激主義の成長と関連しており、これが新たな紛争をさらに悪化させている。

4. 社会経済的な理由による紛争-多くのアフリカ諸国では社会経済的な問題が多く、これが抗議感情に火をつけることもある。

情報技術、主にソーシャルメディアと人工知能(AI)は、アフリカ大陸のほぼすべての国家で紛争の火種となりうる効果的なツールである。

そのため、ソーシャルメディアはデモ参加者間の便利なコミュニケーション手段として機能する。たとえばカメルーンでは、2016年までにフランス語圏と英語圏の対立が急激に悪化した。その結果、2017年10月1日にアンバゾニア連邦共和国(FRA)の独立が宣言され、アンバゾニア臨時政府が発足したが、さすがのカメルーン中央当局もこれを承認しなかった。

ソーシャルメディアがこの紛争の火付け役として重要な役割を果たしたことをここで指摘しなければならない。というのも、ソーシャルメディアの助けを借りて、臨時政府は独立の考えを広め、カメルーン国外の支持者から物質的な援助を受けているからだ。アンバゾニア臨時政府がこのリソースを利用するのを何とか制限するため、カメルーン領内でのインターネットへのアクセスは6カ月間制限された。

アフリカ諸国で活動するテロリスト・グループもまた、日々の活動に先端技術を積極的に導入し始めている。こうしたことから、「テロリズム2.0」という概念さえ生まれている。例えば、ボコ・ハラムは監視のためにドローンを積極的に使用しており、そのドローンは政府が使用するものよりも高度なものだと言われている。アル・シャバブのテロリストたちは、ソーシャルメディアを通じて積極的に思想を広めており、その結果、同グループは「ツイッター・テロリズム」やヘイトスピーチで非難され、多くのツイッター・アカウントが閉鎖されるに至っている。

南アフリカの事例も興味深い。2019年9月、外国人の雇用に抗議してトラック運転手がストライキを行った後、外国人嫌悪感情に動機づけられた暴動が相次いだ。この騒乱の結果、ナイジェリア人に危害が加えられることはなかったが、ナイジェリア人が集団で襲われ、殺され、強制送還される様子を描いた偽の動画や画像がソーシャルメディア上に瞬く間に出回った。

これらのフェイクビデオの結果、ナイジェリアは南アフリカで開催された主要な国際会議から代表団を辞退し、国民の国外退去を発表した。この出来事により、南アフリカ政府はナイジェリアに対し、両国間の緊張の高まりを引き起こした外国人排斥攻撃について正式に謝罪し、ナイジェリア人経営の企業を標的としたポグロム(暴力的破壊)のすべてのケースを徹底的に調査することをナイジェリアのパートナーに保証せざるを得なくなった。

多くの国々が互いに未解決の紛争や請求権を抱えているこの地域で、2国間の対立を煽るために先端技術を悪用することは、国際安全保障にとって非常に深刻な脅威である。

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