「日本の最先端を蘇らせる」米ハイテク大手

エヌビディア、マイクロソフト、オラクル、日本でのAI・量子コンピューティング・プロジェクトを発表

Scott Foster
Asia Times
April 22, 2024

中国での事業や事業拡大を阻まれたアメリカの大手コンピューター・ソフトウェア企業は、日本に焦点を移し、日本の技術競争力の回復を加速させる長年のパートナーシップを強化している。

アメリカのハイテク大手であるエヌビディア、マイクロソフト、オラクルは最近、日本におけるデータセンターと関連サービスへの新たな投資を発表した。また、AIや量子コンピューティングの開発プロジェクトへの日本の参加も呼びかけている。

3月には、富士通が日本の産業技術総合研究所(産総研)に建設した新スーパーコンピューター「ABCI-Q」に、2,000基以上のGPUを搭載したエヌビディアのハイブリッド量子クラシカル・コンピューティング・プラットフォーム「CUDA-Q」が採用されることが発表された。

(ABCIはAI Bridging Cloud Infrastructureの頭文字をとったもので、CUDAはCompute Unified Device Architectureの略。)

ABCI-Qは、将来の量子ハードウェアとの統合を想定して設計されている。研究用の量子シミュレーションを可能にし、AI、エネルギー、生物学、製薬、物流、産業などの分野における機械学習の進歩に貢献する。

産業技術総合研究所、量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センターの副センター長、堀部雅弘氏によれば、この新しいスパコンは「日本の研究者が量子コンピューティング技術を探求し、その実用的な応用の開発をテストし、加速させる」ものだという。

すべてが計画通りに進めば、ABCI-Qは2025年から市販される予定だ。

マイクロソフトは4月上旬、今後2年間で29億米ドルを投資し、日本におけるクラウド・コンピューティングとAIインフラを拡大する計画、東京にマイクロソフト・リサーチ・アジア・ラボを開設する計画、300万人以上の日本の労働者や学生にAI関連のトレーニングを提供する計画、AI開発者や新興企業を支援する計画、日本政府とのサイバーセキュリティ協力を強化する計画を発表した。

今回の投資は、日本の経済産業省(METI)が主導するGENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)プログラムを支援するものだ。GENIACは、企業が生成型AIの基盤モデルを開発するのに必要なコンピューティングリソースを獲得するのを支援するために設立された。

経済産業省はこれを経済的・社会的進歩に不可欠なものと考えており、次のように述べている:

「生成型AIは、インターネットやその他の先端技術に匹敵する技術革新と考えられている。この革新的な技術は、労働力不足などの社会問題の解決に貢献するだけでなく、あらゆる産業での活用が期待されることから、産業活動や国民生活に大きな影響を与える可能性がある」と述べている。

「日本企業が生成型AIを開発する能力を持っているかどうかは、この技術が日本で利用できるかどうか、また生み出されるイノベーションの幅を左右する重要な要素である。」

日本で46年間事業を展開しているマイクロソフトは、東京大学と慶應義塾大学とカーネギーメロン大学の人工知能研究パートナーシップにも、今後5年間に実施される研究プロジェクトに対して1000万ドルを助成する予定だ。

日本政府はマイクロソフトに国の情報インフラに関する権力を与えすぎている、という批判もあるが、岸田文雄首相はそうではない。

「デジタル空間での経済活動が活発化する中、日本の産業界全体にとって、マイクロソフトのようなデジタルインフラを備えたグローバル企業と協力することは重要である」と岸田首相は述べた。

「マイクロソフトの日本における新たな投資の発表に感謝する。マイクロソフトは、さまざまな取り組みを通じて、日本における生成型AIの社会実装に大きく貢献しており、さらなる協業を期待している。また、サイバーセキュリティの分野でも協力を深めていきたいと考えている。」

日本にはマイクロソフトを改革する時間も資源もないし、中国と違って地政学的にその必要もない。オラクル、エヌビディア、その他の米国の大手ハイテク企業も同様だ。

確かに、技術依存は双方向に働いている。インテルは日本の半導体製造装置に依存し、アメリカの自動車会社は日本の産業用ロボットを使用し、トヨタはアメリカ人が好むハイブリッド車のほとんどを製造している。

デジタル変革担当大臣を歴任し、現在は与党・自由民主党政務調査会のデジタル社会推進本部長を務める平井卓也議員は、マイクロソフトの最大の支援者の一人だ。

「デジタルツールの導入は、高齢化、経済成長、地域活性化という日本の社会的課題に取り組む上で不可欠である。」

「マイクロソフトの投資は、特にインフラと人材育成において、日本のAI能力の向上に大きく貢献する。私はこの取り組みを心から歓迎し、日米間、そして官民間の連携を促進する上で、マイクロソフトがリーダーシップを発揮できることを期待している」と付け加えた。

オラクルも今月、今後10年間で日本に80億ドル以上を投資し、クラウド・コンピューティングとAIサービスの需要増に対応するため、日本国内に新たなデータセンターを建設し、カスタマーサポートを強化する計画を発表した。

日本オラクルの既存のデータセンター(そのほとんどが東京と大阪近郊にある)も、エヌビディアの新しいGPUでアップグレードされる予定だという。

オラクルとエヌビディアは、セキュリティを重視する世界中の政府や民間企業向けにAIソリューションを提供するために協力している。

日本では、オラクルの分散型クラウド、AIインフラ、およびジェネレーティブAIサービスと、エヌビディアのアクセラレーション・コンピューティングおよび生成型AIソフトウェアが組み合わされ、個人情報保護法のデジタル主権要件に従って、国内の重要なデータや個人情報の保管および処理に使用される。

近年、中国や北朝鮮のハッカーを含む数々のハッキング攻撃に見舞われ、日本の政府と民間部門は現在、情報漏えいを防ぐためにサイバーセキュリティの厳戒態勢を敷いている。

現地でのエンジニアリング・サポートの拡大とともに、オラクルの分散型クラウド・インフラストラクチャとサービスの日本全国への拡大が促進されるはずだ。

対象となる市場には、政府機関、通信、金融、ヘルスケア、その他データ集約型の企業や組織が含まれる。

オラクルとマイクロソフトは、アマゾンを睨んで日本への新たな投資を行っている。アマゾン・ウェブ・サービスは1月、日本を拠点とするクラウド・コンピューティング・サービスをサポートするため、2027年までに約150億ドルを投じて新たなデータセンターを建設する計画を発表した。

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