ワシントンの制裁対象は、ロシアかヨーロッパか

米国の経済制裁がロシアの利益になっているとのコラムを、ポール・クレイグ・ロバーツも書いている。
ただし、こちらは、米国の経済制裁は、ヨーロッパ経済を悪化させ、米国に一層従属させることにあるという分析を加えている。

ワシントンの制裁対象は、ロシアかヨーロッパか

ワシントンの「ロシア制裁」は、これまでロシアに起こったことのなかで最高だ。

制裁によって、ロシアは西側諸国の一人になろうとする愚かな努力から遠ざかり、真の同盟国に目を向け、輸出するエネルギーを、敵の通貨でなく自国の通貨を支えるためにルーブルで請求する等、ロシアがずっと前にすべきだったことを実行することを余儀なくされた。

ワシントンの制裁は、NATO諸国の経済を引き裂き、EU加盟国間の意見の相違を引き起こし、最終的に、ヨーロッパの人々に、ヨーロッパの人々を犠牲にしてワシントンの戦争挑発を政府が支持する理由を疑問に思わせることによって、ロシアにも利益をもたらしている。

ワシントンの制裁は、ワシントンのヨーロッパ帝国に降りかかる。ヨーロッパの基準電力価格は500%上昇し、1メガワット時あたり509ドルになった。欧州の天然ガスの先物価格は、1年前より10倍高くなっている。

間抜けなドイツ政府は、天然ガスに追加税を課すことで状況を「より悪化」させている。

ドイツの産業界幹部は、ワシントンの制裁によってエネルギーを否定されたため、ドイツの産業が解体されかねないと懸念を表明している。

メルセデス、ポルシェ、BMW、およびフォルクスワーゲン製の車のアメリカ人所有者は、車を使用し続けるために必要な備品をすぐに入手できなくなる可能性がある。

ヨーロッパでは倒産が急増している。過去3か月間の倒産件数は、デンマークで11.9%、ベルギーで14.7%、ラトビアで74.4%増加している。

一方、ロシアはエネルギー価格の高騰とルーブル高の恩恵を受けている。

問題は次の通りだ。

ワシントンによる制裁の本当の標的はロシアなのか、それともワシントンは、ヨーロッパ経済を押し下げることによって、ヨーロッパをワシントンの支配に更に服従させようとしているのか?