北海道「日本の新しいシリコンアイランド」

ラピダス、TSMCに対抗する5兆円の最先端チップ生産施設の建設地に北千歳を選択

Scott Foster
Asia Times
2023年3月13日

日本の先端ロジック・ファウンドリー・ベンチャー企業であるラピダス社は、5兆円(370億米ドル)の新しい半導体製造施設の建設地として千歳を選んだ。この動きは、日本最北端の地域を技術サプライチェーンによりしっかりと引き込むことになる。

千歳は、札幌から南東に40km、特急列車で30分の距離にあり、安い土地、豊富な水、近代的なインフラ、世界クラスの国際空港、苫小牧港への近接性を備えている。

2022年8月に設立されたラピダスは、ソニー、トヨタ自動車とそのグループの半導体メーカーであるデンソー、NANDフラッシュメモリーメーカーのキオクシア、全国通信事業者のNTTと通信機器メーカーのNEC、投資会社のソフトバンク、日本最大の銀行の三菱UFJという日本の大手8社の支援を受けている。

12月、ラピダスはアメリカのIBMと提携し、IBMの最先端2ナノメートル(nm)チップ製造技術を開発・導入すると発表した。

両社は、世界トップのロジックファウンドリーである台湾のTSMCを捕らえることを目的としている。TSMCは現在、未来のテクノロジーを支える、より小さく、より高度な半導体の製造競争をリードしている。

1月上旬、米国商務省のジーナ・ライモンド長官、日本の西村康稔経済産業大臣との会談で、ラピダスの小池社長とIBMのダリオ・ギル研究部長は、ラピダスが10年後半までに量産する予定の高性能論理チップの新しい市場開拓で協力することを発表した。

「この協力は、志を同じくする企業や国々の活気あるエコシステムによって構築される、地理的にバランスのとれた先端半導体のグローバルサプライチェーンを確保するために不可欠です」とギルは述べている。これは、TSMCへの依存度を下げ、台湾と中国本土の間でサプライチェーンが爆発するような対立が起こる可能性をヘッジするための企業コードだ。

しかし、ラピダス=IBMの計画には、ある潜在的な欠点がある。北海道は現在、日本の主要地域で唯一、半導体産業がない地域である。そのため、地域のサプライチェーンや、数百人、数千人のエンジニアや従業員とその家族のための住居を、ほぼゼロから構築する必要がある。

千歳ファウンドリーは、熊本のTSMCとソニーの合弁会社と同様、半導体への投資であると同時に、地域の経済開発プログラムとしても機能する。

これは、意識的に決めたことだ。小池CEOが言うように、「グローバルな人材交流や生態系の形成など、中長期的な可能性を考慮してこの地を選びました。計画や予算が国から承認されれば、千歳市と具体的な協議を始めたいと考えています。」

ラピダスは、日本におけるIBMのもう一つの大きなプロジェクトであり、東京大学、慶應義塾大学、日本の複数の金融・産業企業とのコンソーシアムを通じて、量子コンピュータの開発においても主導的な役割を果たしている。

IBMは、日本にとって特別な存在ではない。1925年に輸出を開始し、1937年に最初の子会社である日本IBMを設立している。

北海道は、日本のスカンジナビアといえるだろう。人口はデンマーク、ノルウェー、フィンランドとほぼ同じですが、工業化率が低いためGDPは小さくなっている。

スウェーデンは2倍の人口がある。デンマークの方が農地が多くて良い。ノルウェーと違い、北海道には石油やガスがない。フィンランドと比べると、北海道には大きなエレクトロニクス産業がない。しかし、ラピダスはすぐにそのすべてを変えるだろう。

札幌には、北海道大学と北海道科学大学(旧北海道工業大学)がある。北海道大学は、東京大学より1年早い1876年に設立された、日本初の近代的な大学である。北海道大学は、1876年に東京大学の1年前に設立された日本初の近代的な大学であり、日本各地にいるラピダスの社員は、田舎に引っ越すわけではない。

しかし、寒さには慣れる必要がある。シベリアから吹雪が日本海を越えて北海道に直撃する。北にはサハリン、北東には冬になると凍るオホーツク海がある。

その一方で、ニセコなどのスキー場、温泉、ヨーロッパに匹敵する山々や湖、夏には花やラベンダーが咲き乱れるなど、住む人も訪れる人も楽しめる環境です。

また、北の海で獲れるカニやサケなどの魚介類は世界的に有名で、ニッカウヰスキーの余市蒸留所やサッポロビール博物館などの史跡もある。

北海道が北欧諸国と大きく異なるのは、北海道が一度も独立した国家でなかったことだ。封建的な徳川政権の残党が1869年に蝦夷共和国(北海道の旧称)を樹立しようとしたが、明治新政府の武力によって敗れた。

大日本帝国は、アメリカのアドバイザーの協力を得て、北海道の近代化を進めていった。そして150年後の今、IBMはラピダスに、世界トップクラスの最先端半導体産業の構築を支援している。

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