ポール・クレイグ・ロバーツ「第3次世界大戦は確実のようだ」


ポール・クレイグ・ロバーツ
2023年7月23日

プーチンの「限定的な軍事作戦」は、プーチンにとっても、ロシアにとっても、そして世界にとっても大惨事となりつつある。

最近、私は限定的な軍事作戦がロシアにもたらす深刻な結果をいくつか挙げた: https://www.paulcraigroberts.org/2023/07/18/does-putin-understand-that-russia-is-at-war/https://www.paulcraigroberts.org/2023/07/22/another-consequence-of-putins-never-ending-war/

もうひとつは、プーチンがオデッサを奪取し、ウクライナを黒海から締め出すことに失敗したことだ。 ウクライナにオデッサがある限り、先日の28機の無人機による攻撃のように、海上からクリミアを攻撃することができる。敵がロシア領土への攻撃を継続するあらゆる機会を残す限定的な軍事作戦の価値は何だろうか?

プーチンがウクライナを迅速に戦争から脱却させなかったことで、アメリカとNATOはルーマニア、ブルガリア、グルジア、そしておそらくトルコに黒海基地を設置する機会を得た。 言い換えれば、プーチンはアメリカとNATOがロシアによる黒海の支配に挑戦する可能性を許しているのだ。 これほど致命的な誤りはないだろう。

米第101空挺師団はルーマニアに駐留している。なぜか? トランスニストリアにいるロシア軍を切り離し、ロシアの降伏という勝利を達成するためなのか、それとも、スウェーデンとフィンランドをNATOに送り込んだプーチンの限定的な作戦の結果、北海とバルト海で達成されたロシア海軍の包囲網を完成させるために、米・NATOに「トリップワイヤー」による保護を提供するためなのか。

プーチンと親欧米の大西洋主義統合派のアドバイザーたちは、ドンバスに限定した西側にとって心強い「限定作戦」だと考えていたが、実際には、反ロシアの西側がプーチンに形勢逆転する機会を与えてしまった。 プーチンは今、本格的な軍隊に必要な資金を投入していないため、十分な通常戦力を持たない戦争に突入している。

そして、ウクライナの民間人の生活や水、電力、公共交通機関、日常の利便性など、ウクライナの戦闘能力を向上させるすべてのものを、塹壕にいるロシアとその軍隊の生存よりも優先させる、お人好しの姿勢をいまだに捨てようとしない。

プーチンは、ワシントンがウクライナの反抗的なロシア地方の住民、つまり共産主義当局者によって同意なしにソビエト連邦のウクライナ共和国に入れられた人々を虐殺しようとするウクライナ軍を建設する間、8年間待った。これによってプーチンは消極的な手を取らざるを得なくなったが、彼は消極的なままで、ロシアを憎むワシントンの新保守主義者たちを、ワシントンが負けるわけにはいかない紛争に西側諸国を巻き込んでロシアに対抗するよう促すような、効果のない介入にとどまった。ロシアとの対立を終わらせることができる2人のアメリカ大統領候補、ドナルド・トランプとロバート・F・ケネディ・ジュニアは、民主党、軍部・安全保障複合体、アメリカのメディア、そして偽検察容疑者から激しい攻撃を受けている。私の考えでは、どちらもアメリカ大統領になることは許されない。

プーチン、クレムリン、中国指導部は、西側がもはや西側ではないことを理解していない。 20世紀の西側の原則は、実際には存在しなかったかもしれないが、原則としては存在した。 ソビエト・ロシアでは、自由な西側のプロパガンダがうまく機能した。 ロシアの知識人の頭の中では、アメリカは潜在的な解放者となった。強硬な共産主義者がゴルバチョフを逮捕してソ連が崩壊すると、ロシア人はその後の経済的苦難と政治的屈辱のために自己信頼を失った。アメリカの輝く光は解放の印となった。 ロシアにおけるアメリカのプロパガンダの成功は、ロシアの破滅を決定付けるかもしれない。

以下はインド人の分析である。
https://www.indianpunchline.com/storm-clouds-gathering-in-the-black-sea/

アメリカ人でもロシア人でもないことに注目してほしい。 インドは、未来がどのように発展するかを決定する重要な要素である。 インドはロシアや中国と同盟を結ぶのか、紛争から手を引くのか、それとも西側諸国と同盟を結ぶのか。 インドの決断は世界の安定に大きく関わってくる。

プーチンと中国はインドの重要性を理解しているのだろうか? インドの民主主義、つまりもちろんワシントンの資金に決断を委ねるプーチンのお人好しぶりをまた目撃することになるのか、それとも中国とロシアはシルクロードの中にCIAのエージェントが入り込まないようにインドとの調整を図るのか。

私の考えでは、おそらく間違いだが、ロシアと中国は森の中の赤ん坊だ。両政府とも、政府が国民に責任を持つ民主主義国家を相手にしていると思っている。 そのため、ロシアと中国は非難から自らを守り、平和的な経済的関与しか望んでいないことを示すために行動する。

しかし、これはアメリカの覇権主義が望んでいることではない。 30年にわたりアメリカの外交政策を牛耳ってきた新保守主義者たちは、ロシアと中国の破壊を望んでいる。

ロシア政府も中国政府も、このことを理解できないのは異常である。

www.paulcraigroberts.org