「月探査レース」で日本を忘れないで

日本は8月28日に月探査用のスマートランダーを打ち上げ、インドとの共同ミッションは2025年に予定されている。

Scott Foster
Asia Times
August 26, 2023

インドの探査機チャンドラヤーン3号が月の南極付近に着陸に成功したことで、日本人は2025年に予定されている月極探査(LUPEX)ミッションと、早ければ8月28日に打ち上げられるかもしれない月探査用スマート・ランダー(SLIM)ミッションに興奮している。

LUPEXは、日本とインドが協力し、アメリカのNASAと欧州宇宙機関(ESA)も参加するもので、チャンドラヤーン3号のヴィクラム着陸船とプラギャン探査車が現在探査しているのと同じ地域に存在すると考えられている水を探索する。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)とインド宇宙研究機関(ISRO)は、「将来、持続可能な宇宙探査活動にそのような資源を利用することの実現可能性を判断するため」、月面の水資源の量と形態に関するデータを収集するLUPEXミッションを考案した。

「ここ数年、観測データの分析により、月の極域に水が存在することが示唆されている。太陽の角度が低い月の北極と南極には、太陽光が長時間当たらないいわゆる「永久影領域」(PSR)が存在する。PSRの例としては、クレーターの内部など、周囲の地面よりも低い場所が挙げられる。」

「最近の観測データから、このような場所では水は昇華(気化)せず、月表面付近に留まっている可能性が高い。しかし、水の量や分布、その形態についての詳細はまだ謎である。」

この謎を解明するため、JAXAは2020年1月に「月極探査プレプロジェクトチーム」を発足させた。その目標は以下の通りである:

  • ISROとの共同ミッションのための包括的な管理計画の策定
  • ISROと共同で探査機システム要件と各種インターフェース仕様の検討
  • システム要件レビューに向けたローバーシステム要件の明確化
  • JAXAが開発する観測機器の開発仕様の明確化
  • 月極探査機システムおよび関連システムのコンセプト設計の実施
  • 着陸地点の調査

「JAXAは「月環境に関する知見を得ることで、月表面の水がどのように進化して現在に至ったかを解明する」ことを目指している。惑星に水がどのように保持されているかを理解することは、将来の地球外有人探査を展望する上で重要である。」

LUPEXは、日本製のロケットと探査機、インド製の着陸機に依存する。ロケットは、JAXAと日本の3大航空宇宙企業である三菱重工業(KHI)、川崎重工業(KHI)、IHI(旧石川島播磨重工業)が開発した新型H3ロケットを使用する。探査機はJAXAとMHIによって開発されている。

ミッションにはいくつかの科学機器が搭載される:

  • 資源調査水分析装置(JAXA)
  • 月熱重量分析装置(JAXA)
  • 三反射リフレクトロン(JAXA)
  • 光共振を利用した水棲生物検出器(JAXA)
  • サンプル分析パッケージ(ISRO)

そしてまた

  • 高性能月画像分光計(JAXA)
  • 地中レーダー(ISRO)
  • 中赤外イメージング分光計(ISRO)
  • ニューロン分光計(NASA)
  • 大気圏外質量分析計(ESA)

これらの機器により、月面の地下1.5メートルまでの潜在的な水資源を検出し、その組成を決定することができるはずである。チャンドラヤーン3号のあまり高性能でないヴィクラムとプラギャンは、月面の組成を調査し、地震活動を記録するように設計されている。

日本の月探査用スマートランダーであるSLIMは、X線撮像分光ミッション(XRISM)と対になっている。どちらも28日にJAXA種子島宇宙センターからH-IIAロケットで打ち上げられる予定だ。SLIMのミッションは、小型軽量ビークルをピンポイントで月面に着陸させることである。

SLIMとXRISMは2021年に打ち上げられる予定だったが、技術的な問題などで延期を余儀なくされた。今月の打ち上げは悪天候のためすでに8月26日から延期されているが、予約されている打ち上げ期間は9月15日までなので、すぐにでも挑戦できるはずだ。

とはいえ、宇宙打ち上げにはリスクが伴う。インドの前回のチャンドラヤーン2ミッションは、2019年9月に着陸船と探査車が月面に墜落して失敗した。日本のispace(民間月探査会社)が2022年12月に打ち上げた探査機「HAKUTO-R」は、2023年4月に月に墜落した。

イスラエルの探査機ベレシートも4月に月に墜落した。ロシアのルナ25号は月周回軌道への投入に失敗し、今月初めに墜落した。日本のH3ロケットは昨年3月、上段の点火に失敗し、初飛行は中止された。

インドは、ソ連、アメリカ、中国に次いで月に軟着陸した4番目の国になった。日本は5番目となる可能性が高い。インドのモディ首相は、「インドの月ミッションの成功は、インドだけのものではない」と述べた。

この成功は「全人類のものであり、将来、他の国々による月ミッションの助けとなるだろう。私は、グローバル・サウスの国々を含む世界のすべての国が、このような偉業を達成する能力があると確信している。私たちは皆、月やその先を目指すことができるのです」と述べた。

昨年4月の墜落事故後、ispaceの袴田武史CEOは報道陣に対し、「(失敗した)着陸直前までデータを取得できたことは大きな成果であり、次のミッションへの大きな前進だと考えている」と語った。

ある日本の新聞は、航空宇宙工学の教授の「日本が月に挑戦できるのは一度だけだ」という言葉を引用した。しかし実際には、今度のSLIM打ち上げは2回目の挑戦であり、失敗すれば間違いなく3回目がある。

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