マイケル・ハドソン「超帝国主義」p.446

多極化する脱ドル経済

第二次世界大戦後のイギリスとヨーロッパ大陸は、自分たちが経済的な従属国になりつつあることを認識しながらも、それに代わるシステムを作ろうとはしなかった。「単独でやっていく」ために必要なクリティカル・マスを欠いていたことに加え、国際貿易、投資、外交のルールを決めるのは債権者であるのが当然だというイデオロギー的な信念が根強くあったからだ。そして、アメリカが利己的な国家主義ではなく、世界全体の利益のために行動することを夢見た。ヨーロッパは、世界の主要債権国であるアメリカが、誰もが平和的に成長できるよう支援することに自己利益を見出すことを期待していた。

その幻想はもはや存在しない。塵も積もれば山となるで、諸外国はアメリカが何を提供できるかを自問している。アメリカには農産物の輸出があるが、他国がアメリカの農家と競争して自国の食料を栽培するのを阻止するために戦っている。ハリウッド映画や大衆文化があり、情報技術や医薬品といった独自の「知的財産権」を独占している。ボーイング社が、安全な航空機を製造するための産業工学よりも、株価を上げるための金融工学を優先させる以前は、航空機の販売も好調だった。

また、アメリカは武器販売も行っており、ドル外交と軍事力による威嚇で他国に買わせている。しかし、アメリカの経済と軍事外交は、アメリカの軍事的脅威に直面している他の国々にとって、自国の防衛支出に対抗するための投資を他国に強いる重荷となっている。この軍事的脅威がなくなることはないだろう。この軍事的脅威は、アメリカの政治システムそのものである。

ドナルド・トランプが「ディープ・ステート」と呼ぶものの力は、アフガニスタンや同様の迷走から米軍を切り離すという選挙公約が彼の破滅を招いたときに示された。トランプは、アイゼンハワー大統領が軍産複合体と呼んだものから政府支出をシフトさせることで、民間経済の復活を助ける「平和の配当」を構想していた。しかし、彼をロシアの工作員だと非難する声は、ミューラー報告書によって反証された後も絶えることはなかった。ジョージ・W・ブッシュ政権でコリン・パウエル米国務長官の首席補佐官を務めたラリー・ウィルカーソンはこう説明している: 「議会はいまや軍産複合体の完全子会社だ。そうやって再選される。そうやって今のシステム全体が機能している。そして、私がそれに含まれる他のすべてのものと言うのは、大学のことだ。シンクタンクのことだ。アイゼンハワーがすべてのオフィスに浸透するだろうと言った、このことについて話しているのだ。」