フョードル・ルキアノフ「2024年は西側のリベラルエリートが世界秩序のコントロールを失う年になるかもしれない」

世界各地で選挙が行われ、多くのことが変わろうとしている。

Fyodor Lukyanov
RT
28 Dec, 2023 19:12

今年は、世界的に重要な意味を持つ1つの激しい軍事衝突で始まり、2つの衝突で終わった。そして、2024年末までこの対立が続かないという保証はない。一見、領土問題に見えるが、本質的には(少なくとも関係者の認識では)実存的な紛争の連鎖は、かなり長いものになるかもしれない。

戦争、革命、植民地支配、民族解放を経た20世紀、世界は奇妙かつ非論理的に分断された。20世紀後半の軍事的・イデオロギー的対立は、次第にグローバルな枠組みへと変化していった。その助けを借りて、理論的にはすべての衝突が解決されるはずだった。しかし、そうはならなかった。それどころか、基盤がぐらつき始めると、また新たな勢いで紛争が繰り返された。

現在の紛争の多発は、現代の国際的な権力構造が弱体化していることの表れである。これは「自由主義的世界秩序」(最近では「ルールに基づく秩序」と呼ばれる)という形で行使された。その基礎となったのは、冷戦の勝利によって得られた、自分たちの正しさとイデオロギーの真実に対する一群の国々の自信であった。自由民主主義と市場経済は、ソビエト政権とその計画経済を打ち負かした。しかしやがて、少数派の意見を考慮した多数派の力としての民主主義は、少数派に多数派以上の道徳的・政治的権利を与えるリベラルなスキームへと変質していった。

例を挙げれば、ほとんどすべてのG7諸国において、与党/連合の格付けは現在極めて低くなっている。現政権に異議を唱える代替勢力は、ポピュリストのレッテルを貼られる。この言葉(ちなみに語源はpopulus-「民衆」)はほとんど悪口になっており、主流派はこの筆で汚された人々と戦うよう指示されている。現在のエリートたちを変える必要はないという考えだ。

その結果、現在、体制側はほとんどすべての投票を民主主義の戦いとして見せている。その意味するところは、民主主義とは「正しい」継続性を維持する勢力の勝利であるということだ。従って、軌道修正を望む者は、たとえ多数派を味方につけていたとしても、民主主義の敵とされる。

今年、ロシアの政治用語に登場した「世界の多数派」(西側共同体以外の国々)という概念は、各国のプロセスと世界レベルのプロセスとの境界線に合致している。世界的なエスタブリッシュメントの役割を担っているのは西側諸国である。それに対抗する単一の「ポピュリスト」勢力は存在しない。しかし、少数派(西側)が権力を濫用していると考える巨大な空間(まさに「世界の多数派」)は存在する。台頭しつつあるのは、硬直した反対勢力ではなく、むしろ凝集した(成長しつつあるとはいえ)抵抗勢力であり、それが米国とその同盟国の政策の有効性を低下させている。欧米諸国内では、世界情勢への関与を減らすよう求める「ポピュリスト」たちの要求が高まっている。これは直接的で即効性のあるものではなく、間接的に持続するものである。しかし、歴史の流れがますます速くなるにつれ、「永続的」の意味も変わりつつある。

2022年はターニングポイントだった。支配者である少数派が初めて直接異議を唱えられたからだ。もちろん、ロシアはこれまで「どちらでもない」立場にあったからだ。しかし、前例ができた。今年は、旧来の制限、つまり秩序が基礎としている「ルール」そのものが消えつつあり、誰にとっても可能性の空間が広がっているという事実に慣れる時期だった。2024年は「偉大なる決断の年」となるだろう。文字通り、世界の大多数が投票することになる(インド、アメリカ、パキスタン、バングラデシュ、南アフリカ、インドネシア、ロシア、エジプト、欧州連合(欧州議会の投票がある)等の人口を足せばいい)。欧米の主要国では、「ポピュリスト(大衆迎合主義者)」と体制側との間で深刻な戦いが繰り広げられている。

この中で、世界の多数派と少数派の国々の多数派は、何らかの共通点を見出すことができる。そしてここが、グローバル空間のさらなる変容に強力な推進力を与えるだろう。

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