世界的な飢餓は「人類にとって最悪の食糧問題ではない」

世界には飢餓人口よりも肥満人口の方が多い。これは良いことのように聞こえるかもしれないが、実際にはそうではない。

Robert Bridge
RT
10 Mar, 2024 21:35

今週は「世界肥満デー」であり、世界中で10億人以上が肥満の憂き目に遭っていることから、今や肥満は世界の健康にとって飢餓よりも危険であると考えられている。この数字は驚異的だ。

20世紀半ばのある日、カメラマンがニューヨークのコニーアイランドに詰めかけた何千人ものアメリカ人日光浴客の姿を、忘れがたいモノクロ写真に収めた。この象徴的な写真でひときわ目を引くのは、海水浴客の多さもさることながら、水着やビキニに脂肪がびっしりついていないことだ。悲しいことに、そして少なからず悲劇的なことに、そのような幸福な時代は終わった。

飢餓は圧倒的に貧困に苦しむ国々を苦しめるが、肥満は富める者も貧しい者も同じようにターゲットにするという点で、ユニークなタイプの苦しみである。『ランセット』誌の新しい研究によると、1990年から2022年の間に、世界の肥満率は子どもで4倍、大人で2倍になった(世界保健機関(WHO)では、肥満とは体格指数が1平方メートルあたり30キログラム以上であることと分類している)。

WHOが発表した「肥満」のトップ10の中で、ポリネシアの小国であるトンガとアメリカ領サモアの2022年の肥満有病率が女性で最も高く、アメリカ領サモアと(近隣の)ナウルは男性で最も高かったことは驚きかもしれない。これらの絵のように美しい島の楽園では、成人人口の60%以上が臨床的に肥満であった。その他に驚いたのは、女性のカテゴリーで10位に入ったエジプトと、男子の肥満度で10位に入ったカタールである。

裕福な国の中で、アメリカは重量級の代表であり、男性の肥満度では世界第10位である。衝撃的なことに、アメリカの成人肥満率は、女性では1990年の21.2%から2022年には43.8%に、男性では16.9%から2022年には41.6%に増加し、3億3千万人のファストフード消費者を抱えるこの国の肥満率は、女性では世界第36位、男性では世界第10位となった。一方、イギリスの成人肥満率は、女性では1990年の13.8%から2022年には28.3%に上昇し、世界87位、男性では10.7%から26.9%に急上昇し、世界55位となった。

子どもでは、アメリカの肥満率は女子が1990年の11.6%から2022年には19.4%に、男子は11.5%から21.7%に上昇した。2022年、アメリカは女子の肥満度で世界第22位、男子は第26位となる。

アメリカ人の急激な変化率を考えれば、わずか数年後にはアメリカはランキングの上位を独占し、国家的緊急事態ともいえる事態になることは予測できる。

このようなことは予測できないはずだ。結局のところ、車を駐車して数歩歩いてレストランに入ることさえできない社会に何を期待しているのだろうか?消費者がドライブスルーの窓口で自家製のスープやサラダを注文しているわけでもない。ファストフード企業で提供されるジャンクフードには、賞味期限を延ばすためにナトリウム含有量が多く、飽和脂肪酸は体内のコレステロール値を上昇させ、血管を詰まらせ、正常な血流を制限して心臓病を引き起こす。さらに、コーラ飲料に含まれる高フルクトース・コーンシロップについても言及されていない。

しかし、真の課題は、多くの人々が座りっぱなしのオンライン注文のライフスタイルに依存するようになった今、肥満といかに闘うかということである。おそらく、食べ物に早さと揚げ物を求める同じ人々が、簡単な治療法も期待するのは当然のことだろう。

新しいワードローブを購入しなければならないことに不安を感じているアメリカ人は、食欲抑制剤として適応外使用されている糖尿病薬、オゼンピックのような様々なダイエット薬を服用している。投資銀行のモルガン・スタンレーは、ジャンクフードの利益が減少する可能性に慌てふためき、ダイエット薬によってアメリカ人のスナック菓子消費量が3%程度減少する可能性があることを詳述したホワイトペーパーを発表した。

しかし、アメリカ国民は本当にもうひとつの薬を必要としているのだろうか?

2022年、世界保健機関(WHO)は、母乳育児の促進、不健康な食べ物や飲み物の子供への販売制限、栄養表示、学校での身体活動基準など、多くのライフスタイルの変更を含む肥満対策計画を採択した。

今、WHOがこのイニシアティブに大企業を賛同させることができれば、インパクトを与えることができるかもしれない。

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