EU議会選挙で否定された「欧州のエスタブリッシュメント」


Paul Craig Roberts
June 10, 2024

欧州連合(EU)議会選挙で欧州の有権者は、ワシントンの傀儡政権を否定した。マリーヌ・ルペンの「右翼」政党はマクロン大統領の政党の2倍の票を獲得した。ドイツの2つの「右翼」政党はともにショルツ首相の政党を上回った。イタリアの選挙では、メローニ首相の「右翼」政党に票が集まった。ベルギーでは、2つの「右翼」政党がそれぞれ、ベルギー首相の政党が得た票のほぼ3倍の票を得た。フランス大統領は国政選挙を要求せざるを得なくなり、ベルギー首相は辞任した。

「右翼」は悪者扱いの言葉になっている。ファシストやナチスを意味する。ロシアの『RT』でさえ、民族主権を代表する政党を「右翼」と表現している。これは、国境を開放する「世界を歓迎する」グローバリストではなく、ナショナリストである政治指導者を悪者にすることに支配体制が成功していることを示している。プーチンはロシアの主権を強調する民族主義的指導者だ。RTはプーチンを 「右翼」と呼ぶだろうか?

マリーヌ・ルペンはフランス大統領選に3度立候補したが、「右翼」というレッテルに脅えたフランスの有権者は彼女を当選させることができなかった。ヨーロッパ人は、移民を受け入れてヨーロッパを蹂躙している反ナショナリストの指導者たちよりも、「右翼」を恐れるように訓練されている。

ナショナリスト政党への支持が引き継がれるのか、それともEU票が単なる抗議票だったのか、次の国政選挙でわかるだろう。ヨーロッパの人々が、ワシントンの操り人形である指導者たちによってロシアとの戦争に追い込まれていることにようやく気づいてくれればいいのだが。腐敗した政治体制が支配力の喪失を恐れていることが、ロシアへの恐怖を植え付けるメディアキャンペーンの理由なのだ。

ヨーロッパの人々が民族ベースの主権国家として生き残るだけの知性を持っているのか、それともロシアとの戦争に駆り出されるバベルの塔になるのか、まだわからない。

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