ポルトガルの選挙で「欧州の右傾化」が鮮明に

ポルトガルの保守政党連合が予備選挙で勝利し、欧州連合(EU)全域で右派勢力の人気が高まっていることを示す最新の例となった。

Ekaterina Blinova
Sputnik International
11 March 2024

ポルトガルの保守派が選挙で勝利したことは、欧州政治における右傾化の最新の兆候である、と識者は主張する。ポルトガルの保守派は現職の社会党を上回ったが、社会党はその後譲歩した。中道右派の民主同盟(AD)は国会で約76議席を獲得し、ユーロ懐疑派の右派シェーガ(ポルトガル語で「もういい」の意味)は12議席から48議席へと4倍の議席を獲得した。

ポルトガル・カトリック大学政治研究所のマルコ・マルシリ研究員(戦略研究分析センターのアソシエイトフェロー)は、「有権者は(既成)政党への信頼を失った」と言う。

元公務員でOSCE/ODIHRの選挙監視員はスプートニクに対し、「有権者は自分たちの投票が無駄だったと考え、反体制政党に投票することで失望を表明している」と語った。

日曜日の選挙で、ポルトガルにおける社会党支配の8年間が終わった。民主同盟がより強硬なシェーガと連立を組むかどうかは不明である。もし連立を組めば、左派政党の90議席を45議席上回る135議席で過半数を占めることになる。

マルシリは、シェーガが「この国の第3の政治勢力になりつつある」と見ている。

選挙戦の争点となった移民問題、物価上昇、社会党の腐敗などが、保守派の成功を後押ししたという。

「この結果は、数々の汚職スキャンダルで揺れる政治情勢の中では、容易に予想できたことだ」とマルシリ氏。

シェーガはわずか5年前に設立されたばかりの政治的新参者だが、反移民と欧州懐疑主義を掲げ、ポルトガル社会の多くの支持を得ることに成功した。

ここ数年、シェーガの党首アンドレ・ベントゥーラは、イタリアの同盟書記長のマッテオ・サルヴィーニ、フランスの国民連合のマリーヌ・ルペン、スペインのヴォックス(Vox)党首サンティアゴ・アバスカルらと会談している。

6月の欧州議会選挙を前に、欧州各地で右派政党の復活が見られる。保守政党は欧州議会の議席を増やすと予想されているが、それでも過半数にはほど遠い。
昨年11月のオランダ総選挙では、ポピュリストのヘルト・ウィルダースと彼の率いる自由党(PVV)が勝利した。ドイツでは、「ドイツのための選択肢」(AfD)がオラフ・ショルツ首相の連立与党のどの政党よりも大きな支持を得ている。また、ルペンの国民連合は昨年の世論調査でライバルを抑えてトップに立った。
マルシーリ氏によれば、左派と中道右派の既成政党が連立政権を組んでEU加盟国の支配権を維持しようとする試みは、チェガや他のポピュリスト勢力への支持を高めるだけかもしれないという。

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