BYD「プレミアムブランド『シーライオン』を発表」-中型フル電動SUVで中国高級車市場のテスラに挑戦

  • BYDはプレミアムブランド「Sea Lion」を立ち上げ、その下にスポーツ・ユーティリティ・ビークル「Sea Lion 07」モデルを設定し、2021年から登場したテスラの上海製「Model Y」に対抗する。
  • BYDは昨年、テスラを抜いて世界最大のEVメーカーとなったが、純粋な電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車のほとんどは、中低所得者層をターゲットにしている。


中国江蘇省常州のBYD電気自動車工場で働く人々。写真:EPA-EFE
Daniel Ren
South China Morning Post
20 November 2023

世界最大の電気自動車(EV)メーカーであるBYDが、中国のプレミアムEVセグメントをリードするテスラの既存モデルをターゲットに、新たな製品を投入することで、世界最大の自動車市場における競争が激化することが予想される、とアナリストは指摘する。

深センに本社を置くBYDは金曜日、新プレミアム・ブランド「シーライオン」を立ち上げ、その下で「シーライオン07」と名付けたスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)モデルを発表した。

BYDは、シーライオン・シリーズがテスラやその製品に対抗するとは明言しなかったが、アナリストは同モデルが同じ市場セグメントをターゲットにしていることにいち早く注目した。

「BYDがテスラのモデル3やモデルYに似た車を作れば、一騎打ちになるだろう」と、コンサルタント会社Shanghai Mingliang Auto Serviceの最高経営責任者であるChen Jinzhu氏は「BYDは現在、米国のライバルよりもコスト面で優位に立っているため、テスラにとっては厳しい挑戦になるだろう」と言う。


BYD Co. 2023年11月17日(金)、中国・広州で開催された広州モーターショーに展示されたSUVのシーライオン。中国は世界最大の電気自動車市場。写真:BYD ブルームバーグ

ウォーレン・バフェット氏が所有する投資会社バークシャー・ハサウェイが支援するBYDは、20万元(2万7879米ドル)から26万元のフル電動SUV「シーライオン 07」を、金曜日に始まった広州モーターショーで発表した。

シーライオン07は、BYDが自社開発したDiSusボディ・コントロール・システムを搭載し、高速でコーナーを曲がる際の横転を防止する。

BYDは昨年、テスラを抜いて世界最大のEVメーカーとなったが、その純粋な電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車のほとんどは、中国本土の低・中所得層の賃金所得者をターゲットにしており、10万元から15万元の値札が付けられている。

一方、上海のギガファクトリーで組み立てられるテスラのモデルYの価格帯は26万6400元からだ。

投資銀行UBSのレポートによると、BYDの中国工場はテスラの上海での組み立てよりも生産面で優位に立っている。テスラのModel 3のライバルとなりうるBYD シールEVの製造コストは15%低いという。

BYDは4月、価格110万元の超高級車「陽光U8」を発表し、自動車の設計と製造における重厚さをアピールした。

U8の外観は、市場の専門家の間でレンジローバーとの比較を呼び起こした。静止状態から時速100kmまで3.6秒で加速し、4輪のモーターによっていわゆる「戦車ターン」が可能で、横向きに「カニ歩き」することもできる。

現在、テスラは中国本土の市場で、中国のEV新興企業3社(理想汽車、Xpeng、Nio)と競合しており、いずれも自律走行技術と洗練されたデジタルコックピットを備えた、優れたバッテリー駆動車の製造を競っている。

中国乗用車協会(CPCA)のデータによると、テスラの上海ギガファクトリーが10月に中国本土の顧客に納車した台数は2万8626台で、前月比34.2%減だった。9月の前月比32.8%減に続く減少だった。

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