パキスタン次期政権を待ち受ける課題


Abbas Hashemite
New Eastern Outlook
18 January 2024

パキスタンは2024年2月8日に総選挙を実施する。国内の政情不安や地域的・世界的な地政学的な出来事を受け、この選挙は重大な意味を持つ。この選挙の結果は、パキスタンの将来にとって非常に重要なものとなる。選挙結果は非常に予測しやすいが、次期政権は手ごわい難題に直面することになる。

国内の政治的混乱と、選挙プロセスにおける体制側の役割の疑惑により、次期政府が直面しなければならない最大の課題は、その信頼性である。国内の一般的な認識では、パキスタン・ムスリム連盟が今度の選挙で勝利を収めるだろう。国内で起きている出来事も、この認識を裏付けている。民意に反するような体制は、国内で生き残るのに苦労するだろう。これは、国内の民主主義的価値のさらなる低下につながるだろう。国内の政治環境も不安定になるだろう。その結果、国内における非民主的勢力の役割も強まるだろう。

さらに、貧困の増加もパキスタンの次期政権の能力を試す大きな課題だ。パキスタンの貧困率は新たな頂点に達している。世界銀行によると、パキスタンの貧困率は39.4%に達し、9500万人近くが貧困ライン以下で生活している。さらに、国際労働機関によれば、失業率も8.5%に達している。このため、パキスタンから大量の頭脳流出が起きている。熟練した教育を受けたパキスタンの若者80万人以上が、職を求めて海外に流出した。イスラマバードの上級エコノミストによると、若者の67%がより良い未来のために海外移住を希望しているという。貧困は、これらすべての問題の根本的な原因である。パキスタンの次期政権は、この問題に早急に取り組まなければならない。

パキスタンは史上最悪の経済的混乱を経験している。2023年12月、国内のインフレ率は29.70%に達した。パキスタンの1600近い衣料品工場が操業を停止し、70万人近い労働者が失業している。これらの工場の閉鎖は、輸出の60%を占める輸出部門にも打撃を与えている。また、世界銀行によれば、気候変動による洪水はパキスタンに約300億ドルの損失をもたらした。さらに、パキスタン国立銀行によれば、2023年10月、パキスタンの経常赤字は7400万ドルという途方もない額に達した。パキスタンの新政権は、国の経済的ニーズに対処するのに苦労するだろう。前政権と同様、IMFや友好国から借款を借りて運営しなければならない。しかし政府は、この経済危機にきっぱりと対処するための効果的な政策を考案するよう、野党や国民からの大きな圧力に直面するだろう。

パキスタンではここ数年、テロが再び急増している。国内の不安定な政治環境と、隣国アフガニスタンのタリバン政権の台頭が、国内でテロが増加している2つの核心的な理由である。パキスタンでは2023年、29件の自爆攻撃を含む664件以上のテロ攻撃が行われ、合わせて1000人近くが死亡した。同国は前年、2014年以来最多の自爆攻撃に直面した。この新たなテロの波は、いくつかの悪影響をもたらした。テロはその国への海外直接投資の減少につながる。テロの多くは、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)で働く中国人技術者を狙って行われた。これはプロジェクトの進行を遅らせることにもつながっている。パキスタン当局は、これらの攻撃についてパキスタン・タリバン運動(TTP)、バロチスタン解放戦線(BLA)、インド研究分析室(Research and Analysis Wing (RAW))を非難している。さらにパキスタン当局は、アフガニスタンのタリバン政府がさまざまなテロ組織、特にパキスタン・タリバン運動(TTP)やバロチスタン解放戦線(BLA)に安全な避難場所を提供していると非難している。パキスタン=アフガニスタン政府間の関係は、テロ問題で険悪になっている。

テロリズムは、新政権が対処しなければならない大きな問題のひとつだろう。アフガニスタンのタリバン政権とパキスタンの軋轢を修復することは、重要な意味を持つ問題である。新政権は、パキスタンの利益を確保しつつ、タリバン政府と友好的な関係を築く必要がある。さらに政府は、国内の遠隔地で活動するテロ組織に対して断固とした行動をとらなければならない。

国際面では、経済的な必要性と地政学的な位置から、政府は米国と中国との関係のバランスをとる難しさに直面するだろう。過去数年間、パキスタンは大国間の対立の中で中立を保とうとしてきた。しかし、パキスタンは経済的な必要性から、IMFや世界銀行といった欧米の機関に大きく依存している。そのため、米国との緊密な関係を求めている。しかし、米国とインドのパートナーシップの拡大は、パキスタンの政策立案者に不安感を植え付けている。そのため、国の安全保障上の必要性を満たすために、中国やロシアとの健全な関係を維持する必要に迫られている。次期政権は、米国や中国との関係のバランスを取るのに苦労し続けるだろう。また、中東、特に湾岸諸国におけるパキスタンのイメージを刷新しなければならない。しかし、パキスタンの政治的混乱はすぐには終わりそうにないため、政府は国内で生き残るのに苦労するだろう。

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