中国の次期外相候補「新たな対米アプローチを約束」

友好的なアメリカ外遊から戻ったばかりの劉建超が、羊の皮をかぶった狼の戦士なのかどうかは、時が解決してくれるだろう。

Jeff Pao
Asia Times
February 3, 2024

知名度の低いワシントン訪問で、59歳の中国のキャリア外交官は、「狼の戦士」外交という国のイメージを変え、中米間の協力関係の強化に貢献することを誓った。

中国共産党中央対外連絡部の劉建超部長は、メディアから次期外相候補として注目されているほか、中国の政治的新星としても注目されている。

昨年7月に解任された秦剛前外相の後を継ぐことで、劉氏は中国の5人の国務委員のうちの1人にもなる。

国務委員と副首相は中国では副国家指導者と呼ばれる。その上のランクは国家指導者で、習近平国家主席、李強首相、その他5人の中国共産党政治局常務委員が含まれる。

米情報機関のリークを頻繁に掲載するポリティコは12月6日、秦はすでに7月下旬に北京の軍病院で自殺か拷問で死亡したと伝えた。

中国政府高官に近しい2人の無名の人物を引き合いに出し、秦とロケット部隊幹部の親族が、中国の核機密を西側情報機関に渡す手助けをしたと報じた。中国政府はまだこの報道についてコメントしていない。

秦氏の退任後、中国共産党中央外事工作委員会の王毅主任が現在まで再び外相の座に就いている。劉氏は2023年後半から王氏の外交業務の一部を分担している。

昨年10月、劉は中国政府関係者の代表団を率いてフランスを訪問し、カトリーヌ・コロナ外相(当時)らフランスの要人や財界人と会談した。12月にはアラブ首長国連邦を訪問し、アブドッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン外相と会談した。

1月8日から13日にかけて訪米し、12日にはアントニー・ブリンケン米国務長官と会談した。

双方は、昨年11月にサンフランシスコで行われた習近平とジョー・バイデン米大統領との首脳会談での重要課題に関する進展を引き続き実行することの重要性を再確認した。

両氏は、中国におけるアメリカ市民の拘束や、中国の人権、台湾、南シナ海に関するその他の問題について話し合った。また、ウクライナ、北朝鮮、中東、紅海の問題についても意見を交換した。

日本経済新聞の論説委員、中沢克二.氏は2月1日付の記事で、劉氏の今回の訪米は、ロシアと北朝鮮の関係強化の間接的な結果であったと述べている。

無名の情報筋の話を引用して、劉氏のアメリカでの重要な任務は、北朝鮮の金正恩委員長とロシアのプーチン大統領との距離が急速に縮まっていることと大いに関係があるという。

同氏によれば、ロシアはウクライナで使用する砲弾の供給を確保するため、北朝鮮にミサイル関連技術をさらに提供したという。中国は自国の裏庭に侵入されることを極端に嫌っており、アメリカとの結束を図っているという。

このシナリオが真実かどうか確かめるには時間がかかるだろうが、王が安全保障問題のトップ・コンタクトパーソンであることに変わりはないようだ。1月26日から27日にかけて、王はバンコクでジェイク・サリバン米国家安全保障顧問と12時間にわたって会談した。

国際秩序

流暢な英語を話す劉は、アメリカで会ったアメリカの外交官やビジネスリーダーたちとの対話で、ウォーミングアップの上手さを見せた。

「中国は現在の国際秩序を変えようとはしていないし、ましてや新しい国際秩序を作って車輪を再発明しようともしていない。我々は現在の世界秩序の構築者の一人であり、その恩恵を受けている。」

外交問題評議会のマイケル・フロマン会長から、中国の狼戦士外交と台湾問題について質問されたとき、彼はお決まりの答えをした。

「私は、狼の戦士のような外交が常にあったとは思っていません。」

「中国にとって台湾問題は核心的利益の核心である。米国が台湾独立を支持しないという声明を真剣に受け止めている。そして我々は、アメリカ側がこの公約を守ることを望んでいる」と語った。

フロマンはちょっとしたジョークで、劉を「羊の皮をかぶった狼の戦士」と表現した。

劉の訪米は、習近平とバイデンが1979年の中米国交樹立45周年にあたる1月1日に祝辞を交わした後に実現した。

その直後、台湾では総統選挙が行われた。北京は、与党の民進党が任期を4年更新できたことに失望した。

1月24日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、3月初旬に開催される全国人民代表大会(全人代)で劉氏が新外相に任命されるだろう、と報じた。

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