マイケル・ハドソン「超帝国主義」p.1

はじめに

米国は、第一次世界大戦以前、あるいは1970年代以前の経済学者が予想しなかったような斬新な政策によって、世界の覇権を握るに至った。したがって、過去1世紀にわたる米国外交のダイナミズムを理解するには、ジョン・ホブソンやV.I.レーニンを読む以上のことをしなければならない。帝国主義とその外交的対立の根源は常に経済的な性格を持っているが、その根源、特にその戦術は、どの時代にもどの国にも同じではない。

米国の経験から言えることは、現在ワシントン・コンセンサスと呼ばれているような国家外交は、単にビジネスや民間金融資本の延長線上にあるのではないということである。それは、民間投資家の利潤動機を超えた、世界のパワー(他国を脅かすのではなく、自国が脅かされているかのように「国家安全保障」と婉曲に表現される)と経済的利益に対する優先的関心によって形成されている。

本書は、第一次世界大戦後、アメリカが世界の債権者としての地位を確立したのは、戦時中の同盟国に軍備や復興資金を前例のない条件で貸し付けたことに起因していることを述べている。このような同盟国間の債務を管理する上で、アメリカ政府の目的と目標は、ホブソンとレーニンがヨーロッパの帝国紛争を分析する上で研究した民間の投資資本のそれとは異なっていた。

アメリカは、世界における自らの位置と役割、ひいては自己の利益について、常に独自の認識を持っていた。アメリカの孤立主義的で、しばしば救世主的な倫理観は、1840年代にまでさかのぼることができる。(この社会哲学については、『アメリカの保護主義的離陸:1815年〜1914年』で述べている)。南北戦争前のアメリカの実業家たちのスポークスマンである、ヘンリー・キャリー、E・ペシャイン・スミス、およびその信奉者たちに率いられたアメリカ政治経済学派は、自国の経済をイギリスや他のヨーロッパ諸国の経済から保護することによって、世界の大国になることができると信じていた。その目的は、高い賃金を前提に、さらに高い生産性を実現する新しい文明の創造にほかならない。その結果、文化的、政治的原則が、レンティア階級が欠乏の経済を支配する社会ではなく、豊かな社会が生まれることになる。