旬を過ぎた「アメリカ覇権」


Bakhtiar Urusov
New Eastern Outlook
2023年6月6日

米国との軍事協力は、何の保証もないうえに破滅的な費用がかかる。

米国は最近、アジア太平洋地域での存在感を高めている。例えば、今年3月には、2021年に設立されたAUKUSブロックを経由して、キャンベラに原子力潜水艦を移転する計画がなされた。2月には、米国とフィリピン当局が、米軍が同国内の基地をさらに4つ利用できるようにする(9つに増やす)ことに合意した。また、4月12日には、ワシントンとマニラの代表が防衛協力の強化に合意した。5月22日には、米国とパプアニューギニアが防衛協力条約に署名し、国防総省が太平洋諸国の多くの港や飛行場に無制限にアクセスできるようになった。

専門家によると、オーストラリアは野心的な軍国主義計画を実行に移すために、今後20年間で約3500億ドルを支払う必要があるという。これらの資金が支出項目(潜水艦の購入、生産・サービスインフラの建設、人材育成など)ごとにどのように配分されるかは、まだ正確にはわかっていない。しかし、このプロジェクトがキャンベラの公的金融システム、ひいては鉱物輸出に大きく依存するオーストラリア国民にとって、決して楽なものでないことはすでに明らかである。キャンベラはまだAUKUSのパートナーとの契約締結のための取引を開始していない(これを可能にする法律が米国議会に提出され、承認されたばかりである)にもかかわらず、すでに経済的困難に遭遇している。オーストラリア政府は、最も重要な輸出産業である天然ガスの生産と取引について、「反資本主義的」な方法で直接規制をかけなければならないほど危機的な状況にある。

この地域で最も古いアメリカの軍事的・政治的同盟国の一つであるフィリピンも、状況は良くはない。ワシントンとの防衛協力の大幅な拡大は、フィリピンの経済状況に(韓国や日本がそうであるように)期待されるような具体的な好転をもたらすことはない。5月22日、フィリピン大統領が、300万人の国民の最低限の食料を賄うため、配給カードの導入を検討していると発言したことも、決して無意味なことではない。

タイからの最新のニュースも、同様に落胆させるものである。「王国の地上施設や整備体制が整っていない」という口実で、ワシントンはもう一つの「主要同盟国」であるバンコクに、すでに発注して進めていたF-35戦闘機10機の納入を拒否し、10年後の納入の見通しを明らかにした。

それに続くのが経済的に弱いパプアニューギニアで、上記3カ国よりも服従と引き換えに経済的リターンを要求しているように見える。しかし、ワシントンとの軍事協力は最近、経費ばかりがかさんでおり、疑問が残る。

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