マイケル・ハドソン「『ゼロ金利政策の出口』は暴落のみ(要旨)」


Michael Hudson
michael-hudson.com
2023年7月10日

米国の金融危機:『ゼロ金利政策の出口』は暴落しかない

要旨

有利子負債は指数関数的に増加する。生産と消費の非金融経済は、所得が負債を肩代わりするために流用されるため、成長が鈍化する。暴落は、経済の大部分が予定された債務返済を支払えなくなったときに起こる。米国経済は2008年にその時を迎えたが、銀行救済によって最小限に抑えられ、その後、連邦準備制度理事会(FRB)がゼロ金利政策(ZIRP)によって銀行の流動性を高めたため、14年間好景気が続いた。資本市場を金融緩和で氾濫させたことで、株価は5倍に上昇し、米国史上最大の債券ブームが巻き起こったが、有形資本投資や実質賃金、非金融経済全体の繁栄は復活しなかった。

2022年にゼロ金利政策を撤回すると、債券価格は下落し、株式市場と不動産価格の暴騰は終わった。14年間の大増発は金利の急上昇に直面し、2023年春には多くの銀行が破綻したが、預金者はすべて連邦預金保険公社(FDIC)と連邦準備制度理事会(FRB)によって救済された。今、未解決の問題は、ゼロ金利政策の下で膨大な債務を拡大し、経済の債務負担を増やしたことで、2009年以降先送りされた金融クラッシュに米国経済が直面するかどうかである。

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