ワシントンは公正な競争ではなく、制裁によって技術独占を維持するという一極的な考え方から抜け出せない。
Timuer Fumenko
RT
2023年9月24日
ワシントンは、中国であれロシアであれ、敵対国からハイエンドのマイクロチップへのアクセスを奪うことで、敵対国の軍事的、技術的、ひいては経済的発展を不能にする包括的な封じ込めを実施できると考えているようだ。基本的なチップ製造の特許と設備を独占することで、アメリカは中国企業やロシア全体を一方的にブラックリストに載せ、第三国にも同じことを強要してきた。
これは、技術独占を維持することでアメリカの覇権を永続させるというジョー・バイデン米大統領のドクトリンの核心部分となっている。核兵器よりもチップを重視し、未来のテクノロジーを支配しようとする新冷戦の責務となっている。しかし、時が経つにつれ、ワシントンが敵対する国々にいくら制限を課しても、その政策が機能していないことが明らかになりつつある。『ザ・ヒル』紙の記事はこう伝えている:
「中国は、RISC-V(オープンソースのチップ設計アーキテクチャ)に投資して国産チップを開発することで、米国の半導体輸出規制を公然と逃れようとしている。」
同様に、「ヤドロやエルブルスを含むロシア企業は、有能なRISC-Vコアを開発している」。米国がウクライナへの軍事介入の罰として、チップ開発からロシアを完全に切り離す可能性があると繰り返し主張しているにもかかわらず、である。北京は半導体に数十億ドルを投資し、次世代技術への移行を続けている。つい最近も、ファーウェイが再び監視カメラ用チップを製造しているというニュースが飛び込んできた。
なぜこのような政策が失敗に終わるのだろうか?まず第一に、制裁に対するアメリカの姿勢は、多極化ではなく、一極化の時代に作られたものである。アメリカの外交政策にとって、制裁は「手っ取り早い解決策」であり、ほとんど思考も戦略も必要としない問題に対する怠惰なキャッチオール解決策となっている。アメリカの支配が包括的だった1990年代から2000年代にかけての一極集中の時代には、ワシントンの政治家たちは、小国を貧困のどん底に陥れ、大規模な権力格差による不自由な制裁によって破滅させることができることを学んだ。経済的にも技術的にも孤立させやすかったからだ。この時代にアメリカの制裁が急増したのは、驚くにはあたらない。この政策は「一極性」の産物であり、アメリカが単独で「法」を構成し、他のすべての国はそれに従わなければならないという信念だからだ。
しかし、世界が変化するにつれ、アメリカは多極化する世界の中で、より大きな相手に対して一極的な戦略を取り入れるようになった。力の分布がよりばらばらになったことで、米国が独占的に支配している国以外では、たとえ小さな相手であっても、制裁協力を実施したり取り締まったりすることが難しくなった。米国はかつて、制裁を強化すれば北朝鮮を核軍縮に追い込むことができると信じていたが、実際にはそうならなかった。敵対する国々を孤立させることは、以前よりもはるかに難しくなっている。それゆえロシアは、とっくの昔に機能不全に陥り、「ミサイルを使い果たした」と主張されていたにもかかわらず、さまざまな手段で半導体を入手できている。
米国が、真剣な競争の代用として技術封鎖を拡大することで敵を無力化しようとする戦略をとるのは、まさにこの妄想に基づくものである。これはまた、一極集中の自己満足から派生したもので、アメリカの敵対国は技術革新ができないため、技術的なデカップリングが加速すれば、アメリカは優位を保ち、優位に立ち続け、敵対する国は遅れをとるという基本的な思い込みである。言い換えれば、半導体やマイクロチップの発明を自分たちのやり方で成功させることができる国家など存在しないということだ。それは、アメリカが核爆弾を発明したからといって、他の国がそれをできるはずがないと言っているようなものだ。
しかし、半導体が今やこの地政学的闘争の究極の資産であり、国家安全保障の中心であることを考えれば、資金も資源も専門知識も豊富な中国が失敗すると考えるのは甘い。北京が日常的にアメリカの技術を盗んでいると非難されていることを考えれば、これは皮肉なことである。米国が行ったことは、自国の独占を維持することよりもむしろ、あからさまに兵器化することで世界的な半導体サプライチェーンを崩壊させることだった。その結果、他国は生存と自立の戦略を追求せざるを得なくなり、長期的には前述のアメリカの技術独占にダメージを与えることになる。言い換えれば、アメリカは流れに逆らって泳ぎ、多極化を阻止し、自国にとってより有利だった世界に時計の針を戻そうとしているのだ。