加速する「ドイツ産業の海外移転」-ビルト紙

ドイツ国外に拠点を移す製造業者が増えていると、業界ロビーが警告している。

RT
11 Feb, 2024 13:59

ドイツ産業連盟(BDI)のジークフリート・ルスヴルム代表の発言を引用して、ドイツの製造業者の3社に1社が、経済的な問題を背景に生産拠点を他国に移すことを検討していると、ビルト紙が土曜日に報じた。

それによると、最近移転を計画している企業の中には、家電メーカーのミーレがあり、ドイツ国内で2000人の雇用を削減し、700人をポーランドの拠点に移す予定だという。暖房器具メーカーのフィースマンはすでに3,000人の雇用をポーランドに移している。

フォルクスワーゲンは昨年、アメリカに新しいバッテリー工場を建設すると発表し、BASFはドイツ本社の人員削減の中、中国の石油化学工場に100億ユーロを投資する計画を発表した。フランスの鋼管メーカー、ヴァローレックは昨年9月にドイツでの生産を停止し、タイヤメーカーのミシュランとそのライバルであるアメリカのグッドイヤーも2025年末までにドイツ工場を閉鎖すると発表した。

ルスヴルムによれば、「ドイツに対する忍耐は限界にきている」と報告する企業が増えているという。同氏によれば、経済成長の鈍化と高率のインフレ、特にエネルギー問題が投資の減少を招き、ベルリンには状況を好転させる戦略が欠けているという。その結果、製造業は徐々に衰退し、既存の生産ラインはしばらく操業を続けるかもしれないが、「ドイツではもはや新しい生産ラインは作られていない」と同氏は言う。

多くの企業は、ドイツが2022年にロシアの天然ガスへのアクセスを失った後に高騰したエネルギー価格の高騰を、問題の大きな原因のひとつとして指摘している。これは、ベルリンが原子力と石炭を段階的に廃止し、自然エネルギーに切り替えることを決定したことでさらに悪化したもので、ルスヴルムによれば、ドイツで働く製造業者は他の先進国と比べて著しく不利な立場に置かれている。

今週初めのフィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、ルスヴルム氏は、「7年後のエネルギー供給がどうなっているのか、今は誰も確信を持って言えない」と語った。そして、2045年までにカーボンニュートラルを達成し、2030年までに発電量の80%を風力と太陽エネルギーに切り替えるという野心的な気候変動政策を掲げている政府は、エネルギー政策に関して間違いを犯していると、付け加えた。

「企業は、長期的な計画を立てることがますます難しくなっていると言っている。このような状況でドイツへの投資を続けることに大きな疑問を持っている。他の場所の方が条件はいい。そして、彼らは海外へ出て行くのです」とルスヴルムは語った。

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