マイケル・ハドソン「文明の命運」p.275

今日の文明の分かれ道

社会には本質的に2つのタイプがある。公的なチェックとバランスを備えた混合経済と、国家を解体して民営化し、通貨と信用システム、土地、基本的なインフラを乗っ取って自分たちを豊かにするが、経済の成長を助けるのではなく、経済を窒息させてしまう寡頭制である。歴史の教訓は、民営化された寡頭政治は二極化し、破綻国家となるということである。社会と国民を略奪的なレンティアからの搾取から守るのに十分な強さのある政府を持つ混合経済は、成功し、弾力的である。

経済的進歩と社会的安定の両立を目指す混合経済は、最富裕層が公権力を掌握し、政府の座に就こうとする試みに抵抗することによってのみ生き残ることができる。そのような寡頭制に抵抗しないことから生じる危険性を認識した中国の習主席は、前掲の2021年8月の記事で次のように指摘している:「先進国の中には、何百年も前から工業化を進めてきた国もあるが、その社会システムにより、共栄の問題は解決されず、むしろ貧富の差の問題が深刻化している。」この運命を避けるために、中国は 「公有制を主軸として維持しなければならない...一部の人が先に豊かになることを認めるべきだが、先に豊かになった人がまだ豊かでない人を指導し援助することを強調しなければならない。」

新自由主義の冷戦主義者は、このような立場をとった中国を存亡の危機に瀕した敵とみなす。彼らが反対するのは、中国が、米国を中心とするレンティア層が自国を犠牲にして法外な富を得るのを阻止する能力であり、新自由主義金融資本主義に代わる非常に成功した選択肢があることを示し、米国の政策軌道から国々を遠ざける可能性があることである。