マイケル・ハドソン「文明の命運」p.274

新自由主義的なレンティア思想の軍国主義化

新自由主義イデオロギーは、西側エリート社会とそのマスメディアにおいて、伝道的な側面を持つに至った。そして、宗教的な争いがしばしば暴力や武力によって解決されてきたように、今日、米国は、他国に対して、米国の金融投資家やプランナーの自由市場の庇護下にない金融や商業の自立、さらには社会民主主義の推進を放棄させようとする試みを軍国主義的に行っている。

ロシアが1990年から91年にかけて新自由主義神話に屈したのは、ミハイル・ゴルバチョフ大統領をはじめとする指導者たちが冷戦終結の見通しに熱狂していたからだ。その夢は、世界で最も軍国主義的な国々の間に国際平和の時代を創り出すことだった。それがどのように破たんしたかは、最近ではウラジーミル・プーチンが、前述の2021年10月のバルダイ・クラブ演説で説明している:

人類は約30年前に新しい時代に入り、軍事的、政治的、イデオロギー的対立を終わらせるための主要な条件が整った。... 我々はこの支援を求めていたが、少なくともこれまでのところ、見つけられなかったと言わざるを得ない。西洋の政治思想の人道的な基本はどこにあるのだろうか。そこには何もなく、ただ漫然と語っているように見える。... 冷戦終結後、欧米の支配を前提に(極めて有利な前例を)作ろうとした試みは、見ての通り失敗した。現在の国際情勢は、まさにその失敗の産物であり、我々はこのことから学ばなければならない。

1980年代以降、欧米の指導者たちは、新自由主義経済は、政府の規制や基本的なインフラの所有を伴う混合経済よりも、自然に自己規制し、より生産的であるというシカゴ学派の自由市場の思想を主張してきた。フリードリヒ・ハイエクは、政府の「干渉」は農奴制への道であると宣言した。これは、マーガレット・サッチャーやアメリカの自由主義的な自由市場主義者や規制緩和主義者を夢中にさせたオーウェル的なレトリックであり、新冷戦の誇張の多くを裏付けている。公的な「干渉」を伴う「市場」は、経済の「自由」を「侵害」していると非難される。この「自由」とは、富裕層が債務者、顧客、消費者から自らの経済的・個人的自由を奪う自由を意味する。古典ローマ以来2000年にわたる歴史的経験は、富裕層のためのこのような自由や「自由市場」が寡頭政治につながり、寡頭政治が文字通り農奴制への道であることを示す。

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ハノイ着。蒸し暑いです。
「文明の命運」は残り3ページちょっとです。。。