パキスタンの緊縮財政


Taut Bataut
New Eastern Outlook
3 January 2024

パキスタンがIMFからの新たな融資に苦しむなか、人々はそもそもなぜこのような事態に陥ったのかを熱心に尋ねている。答えは簡単だ。国家による制限のない持続不可能な支出は、痛ましいほど低い課税基盤によってさらに悪化している。十分で良質な国内生産の欠如は、輸入への過度な依存と、特に中間財から高額財の輸出不足につながる。過去の借金の利払いがかさんでいる。要するに、すべてが同じ方向に向かっているのだ。

次の問題は、解決策は何かということだ。

IMFや経済理論家の答えは「緊縮財政」だ。政府は支出、特にエネルギーや消費に関する無駄な補助金を大幅に削減しなければならない。増税を行い、課税ベースを拡大するための積極的な努力をしなければならない。しかし、税金のような歳入増加策は二の次である。優先順位は常に歳出を抑制し、歳入を債務返済やおそらく生産的投資に振り向けることである。

しかし、緊縮財政はどの程度実行可能なのだろうか?

多くの人にとって、パキスタンのような国での緊縮財政の問題点は、おそらくそれが必要とされる理由でもある。この国はあまりにも貧しい。国家が借金の返済に追われる一方で、国民は生活必需品を買うのがやっとだ。国際紛争と新型コロナパンデミックによって断絶されたグローバル・バリュー・チェーンへの依存による前代未聞のインフレは、基本的な食料品の価格の高騰を意味し、交通費、エネルギー費、一般的な生活費も高騰している。例えば、ガソリン価格の相次ぐ高騰は、ここ数ヶ月間、重要な政治問題となっている。

このような問題は、社会の最も貧しい層に不釣り合いに影響を与える。ガソリンに対する国家補助金の突然の縮小により、ガソリン価格は1年の間に3倍に跳ね上がり、多くの人々にとって、個人的な移動手段(主にバイク)を所有することはもはや不可能になっている。公共交通機関は極めて不十分で、主要都市の中心部以外のほとんどの場所ではまったく見あたらない。都市部であっても、パンジャブ州の都市は、シンド州、カイバル・パクトゥンクワ州、特にバロチスタン州の都市よりもはるかに交通の便がよく、資金も潤沢である。

パキスタンのような国家で緊縮財政に取り組むのが難しい理由は他にもある。インフラや家屋に壊滅的な打撃を与える北部地域の洪水は、今や事実上毎年のように発生しており、建設や維持管理の質はこのような事態に耐えられない。このような場合、国からの災害援助が常に必要となる。さらに、軍事組織が国家機構を支配しているため、軍事予算は景気後退の影響をほとんど受けず、緊縮財政の時期であっても国家財政から巨額の不釣り合いな資金を引き出し続けている。

この問題のもうひとつの大きな原因は、国内の不採算国有企業である。パキスタン国際航空が最も有名だろうが、パキスタン鉄道など他の企業も国家財政を圧迫する大きな要因となっている。これらの企業は、公共雇用のため、必要以上に何千人もの従業員を抱えており、縮小や民営化は政治的圧力により事実上不可能である。そのため、これらの企業は極めて効率が悪く、恒常的に赤字を出している。

パキスタン国家が債務を処理するのに十分な歳入を上げられないということは、対外債権者(国内債権者も増えている)に対する負債が数十億ドルに上り、利子の蓄積によって増加する一方であることを意味する。緊縮財政は自然な解決策に思えるが、パキスタンのような貧しい国家には到底手が出せないリスクに満ちている。

では、緊縮財政が機能するためには何が必要なのだろうか。

理想的な世界では、解決策は単純だ。国家は徴税能力の拡大を積極的に追求しなければならない。特に、農地所有者など、現在非課税となっている国民層に焦点を当てることである。第二に、経済成長を生み出し、経済が停滞している現在のサイクルを断ち切るためには、国家支出を単なる補助金ではなく、公共投資に集中させなければならない。

問題は、取り巻く環境が理想的ではないということだ。政治経済的な制約があるため、大幅な改革が行われない限り、特定の有力者層は常に課税されない。第二に、実際の経済活動を生み出すための政府による投資は、この国の市場の状況によって妨げられている。つまり、現在この国で採算の取れる投資は不動産の分野だけで、それもその土地に建設するというよりは、投機的な保有にとどまっている。仮に代替可能なセクターがあったとしても、政府には投資する資金がなく、民間投資を呼び込むだけの信用もない。

IMFの構造調整や緊縮財政推進派が要求するような政府支出の削減は、上記の理由からパキスタンにとって非現実的である。現実的な代替案はない。というのも、そのような解決策を講じるには、十分に機能し、整合性のとれた政府によって、公共用に巨額の資金を供給する必要があるが、パキスタンにはその両方がないからだ。後者を可能にするような大幅な改革がない限り、パキスタン経済は負債と停滞の終わりのないサイクルを引きずり続けることになりそうだ。文字通り、借りた金と時間で生きているのだ。

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