「中国のハイテク主導の経済成長には、過剰生産能力を解決する『より賢い投資』が必要」-曹和平教授

  • 北京大学経済学部の曹和平教授は、消費財や工業製品の過剰生産と過剰投資が中国経済の大きな問題だと指摘する。
  • 北京はハイテク発展を目指し、「新質生産力」と呼ばれる新たな経済エンジンの必要性を繰り返し訴えている。


Kinling Lo
SCMP
12 Mar 2024

著名な経済学者によれば、中国がハイテク主導の成長へとシフトする中で貿易障壁の上昇に巻き込まれているため、北京は「よりスマートな投資」を追求し、伝統的な製造業やインフラの過剰生産能力に対処するために産業政策を洗練させるべきだという。

北京大学経済学部の曹和平教授によれば、これを怠れば、過去数十年の日本やヨーロッパで見られたように、中国が長年の停滞に陥る危険性があるという。

同氏は、消費財や工業製品の過剰生産、過剰投資が中国経済の健全性を損なっていることを強調し、北京は国際競争力を維持するために、特に新素材や新興産業など、テクノロジーの推進を先導する現実的なパターンを見つける必要があると述べた。

急速な経済構造改革の時期にある今、政府は効率的な機会費用とサンクコストの調整を支援すべきである。

曹和平

「現在、表面上の最大の問題は、不動産市場、失業、貿易、経済成長のいずれかにあるように見える。しかし、経済的な観点から見ると、実際には3つの異なるタイプの過剰生産能力についてである」と、曹氏は先週、国営のニュースポータルChina.org.cnに語った。

「過剰生産能力を目の当たりにしている分野には、より賢明な投資が必要だ。」

「経済構造改革が急速に進んでいる今、効率的な政府は機会費用やサンクコストを調整し、効率的な市場を実現する手助けをする必要がある。」

中国経済の減速は、国内消費の低迷、海外投資家の信頼低下、米国主導の貿易制裁による圧力によっても、さらに足を引っ張られている。

北京は、世界第2位の経済大国をグローバル・バリュー・チェーンの上位に押し上げるため、自国のイノベーションとハイテク開発をもたらす産業に焦点を当てる新しい経済エンジン(中国政府関係者は「新質生産力」と呼んでいる)を繰り返し呼びかけている。

12月に開催された中央経済工作会議で、中国首脳は「一部の産業における生産能力過剰」を2024年の大きな課題とした。

また、李強首相は先週の年次「全国両会」での政府業務報告で、中国の発展モデルは産業過剰を抑制し、「高品質」生産につながるものへと転換するというシナリオを繰り返した。

しかし、電気自動車(EV)やバッテリー生産などの関連産業を含め、北京が新たな成長エンジンとして歓迎する産業は、国内外で過剰生産能力への疑問を呼び起こし続けている。

北京は1月、国内企業間の熾烈な価格競争の中、EV産業において「余分なプロジェクトを防止するための強力な措置」を取ると発表した。

コンサルタント会社Automobilityの試算によると、中国には年間500万台から1000万台の過剰生産能力がある。
また、欧州委員会は昨年、低価格の中国製輸入車に対する調査を開始するなど、EV業界はますます世界的な競争相手からの懸念や圧力に直面している。

そのため中国は、チップや自動車エンジン関連技術の開発を含め、新技術や新産業の開発を刺激するような関連産業のさらなる発展から、新たな成長点を見出さなければならない。

「新素材、新エネルギー、新システムを開発することが、過剰生産能力を是正し、経済成長を実現する現実的な道筋をもたらすだろう」と曹氏は語った。

「第一に、材料はあらゆるものを生産するための基礎でである。第二に、エネルギーを開発することで、材料を使用することができる。第三に、区画や小さな部品の生産から、新しいシステムや新しい最終製品を組み立てることができるようにする必要がある。」

「過剰生産能力によって、中国は伝統的な大規模製造業で他の先進国と競争することができなくなっている。」

曹氏は、もし中国が「経済構造を本来の道から脱却」させ、科学技術を主導的な原動力とすることができなければ、長年にわたる停滞に直面する危険性があると警告した。

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