マイケル・ハドソン「文明の命運」p.235

人為的な低金利は、雇用を助けていない。また、個人貯蓄者には安全な債券のリターンが低く、年金基金には退職目標額を達成するために積み立てを増やすよう義務付けている。企業にとっては、低金利は企業買収の脅威を高めることになる。このため、潜在的なターゲットとなる企業は、「毒薬」を飲んで自ら負債を抱え込み、他の企業を信用買いして、買収者がジャンク債の買い手からの買収資金の返済のためにこれ以上負債を抱え込むことができないようにする必要がある。もちろん、ゼロに近い金利は、不動産、株式、債券の購入のためにさらに多くの借金を促し、富裕層には上記のようなキャピタルゲインを、経済全体には債務汚染の津波を生み出した。

上層部の豊かさと下層部の深刻な苦悩の対比は、新しいものではない。1776年、アダム・スミスはこれを資本主義に固有の力学として説明した。「利潤率は、レントや賃金のように、社会の繁栄とともに上昇し、衰退とともに下降するものではない。それどころか、利潤率は自然に豊かな国では低く、貧しい国では高くなり、破滅に最も早く向かっている国では常に最も高くなる。」今日、経済が縮小する一方でキャピタルゲインが最も高くなっている。

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