マイケル・ハドソン「超帝国主義」p.408

ヨーロッパ諸国は、ドルという十字架に事実上磔にされることで自国の経済主権が脅かされると反論した。フランス政府高官は、アメリカにドルを支援するよう再度求めたが、拒絶された。3月の最後の2週間で、ドイツ連邦銀行は主にベルギー、オランダ、フランスから15億ドルのアメリカ通貨送金を吸収した。6月29日までにドイツに流入したドルによって、ドイツ・マルクは再び5.5%の切り上げを余儀なくされた。1969年以来5回目の切り上げで、ドイツ・マルクの価値は4年前の25セントから41セントとなり、60%以上も上昇した。

1オンスあたり44.22ドルという「公式」価格では、金の国際販売は行われていなかった。金貨の非貨幣化によって、アメリカが国際収支を赤字にするための制約から金が取り除かれたのである。3月末には、金の自由価格は1オンス100ドルを超え、6月には125ドルにまで高騰した。イタリアは、他の共同市場中央銀行との決済赤字を解消するためのドルを得るために、300トンの金を自由市場で売却したと噂された。しかし、ほとんどの支払い赤字国は、西ドイツや他の支払い黒字国への支払いに不要なドルを使い、金を持ち続けようとした。ソビエト・ロシアは、価格が1オンスあたり200ドルに達するまで金を持ち続けると言われていた。

7月6日の週末、アメリカの外交官たちは、アメリカがヨーロッパ通貨をスワップ借入れすることによって生じるかもしれない為替リスクをヨーロッパと平等に分担することに合意したようだ。このような合意がないことが、中央銀行の介入に関する合意への主な障害の一つとなっていた。その取り決めとは、アメリカがマルクやギルダーを借りてドルを支え、その返済前にドルが切り下げられた場合、アメリカが被るのはドルの切り下げが外貨建てにもたらす損失の半分だけというものだった。残りの半分は、アメリカに外貨建て融資を行った中央銀行が負担することになる。これまでは、イギリスなどの債務国は海外からの借入れの切り下げの影響を全額負担しなければならなかったが、今回はアメリカに合わせてルールを変更することになった。

この準譲歩と引き換えに、連邦準備制度理事会(FRB)は外国の中央銀行との与信枠を120億ドルから180億ドルに、つまりフランス、西ドイツ、日本、カナダの中央銀行との10億ドルの増額を含めて約50%増額した。これは、3月から6月までの間、ドルの為替レートをサポートするために当局が介入することを約束するものだった。