マイケル・ハドソン「超帝国主義」p.429

現代の通貨帝国主義の本質

1971年に100億ドルという巨額が10%のドル切り下げを引き起こし、世界的な危機を引き起こしたアメリカの国際収支赤字は、1980年代後半には年間1500億ドル近くにまで膨れ上がり、20世紀末にはその2倍となり、その後も際限なく拡大した。外国の中央銀行が国際準備にドルを追加すると、アメリカの支払い赤字だけでなく、その過程でアメリカ自身の国内連邦財政赤字も賄われることになる。財政赤字が拡大すればするほど、外国の中央銀行の手元にはドルが積み上がり、米国債の借用証書に姿を変えるのである。

1971年にアメリカが金離れをしたことで、ヨーロッパとアジアはジレンマに直面することになった。アメリカの支払い赤字がドルを引き下げると、アメリカの輸出業者が価格面で有利になる。自国の生産者を守るため、外国の中央銀行は余剰ドルをアメリカに還流させることでドルの為替レートを支えなければならない。この選択肢は米国債に限られる。アメリカの外交官は、アメリカの主要企業の経営権を買ったり、金に戻したりすることは非友好的な行為とみなされることを明らかにしているからだ。

アメリカの歴代政権は富裕層への減税を行う一方で軍事費を増やし、アメリカの予算は高騰している。アメリカの支払い赤字は、アメリカの外交資金を賄うための強制的な対外融資という形でフリーランチを提供しているため、世界はダブルスタンダードで動くようになっている。外国人はこうした政策に対して何も言えない。中央銀行のドル積み立ては、事実上、アメリカが世界の中央銀行に課税するシニョレッジ税であり、代表権のない課税のようなものだ。外国がアメリカ政府に融資しても、アメリカの政策形成における議決権は与えられない。これは、アメリカ政府、IMF、世界銀行が、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアの債務国経済に対するドル債権を利用して、新自由主義的な親米ワシントン・コンセンサス政策に従わせようとしているのとは正反対である。