ポール・クレイグ・ロバーツ「西側世界から真実が排除され、代わりにゲシュタポ警察国家が残る」


Paul Craig Roberts
September 4, 2024

西洋文明の価値はひとつも残っていない。自由の時代を構成していた価値観はすべて否定された。

フランスで起訴されたテレグラムのオーナー、ドゥーロフがその例である。フランスでの起訴の根拠は、テレグラムの存在意義であるプライバシーが、犯罪者が子どもの性行為の投稿などの犯罪に利用できる仕組みを提供しているというものだ。プライバシーはまた、犯罪者や麻薬ディーラーが違法なビジネスに利用する秘密の通信手段も提供している。フランス政府の主張は、テレグラムはプライバシーを提供することによってこれらの犯罪を可能にし、したがってドゥーロフは犯罪に加担しているというものである。起訴されるのはドゥーロフであって、児童ポルノ製作者や麻薬の売人ではないことに注目してほしい。

言い換えれば、フランスの起訴側の主張は、犯罪者が犯罪の遂行を容易にするために使用する通信メカニズムの所有者として、ドゥーロフ自身が犯罪を犯したというものである。

私たちは、この種の非論理的な議論を以前から耳にしてきた。銃器を所有する憲法修正第2条の権利を使って、犯罪者や強姦魔から身を守る人々の能力を奪おうとする人々は、銃器を使用する人々によって引き起こされた負傷や死亡の責任を銃器メーカーに押し付けようとする。つまり、製造者の責任であり、製造者の製品が犯罪者の犯罪を可能にしたのだから、というわけだ。

遅かれ早かれ、この議論は多くの商品やサービスに適用されるだろう。例えば、自動車は銀行強盗や殺人、人身売買に使われるが、自動車を製造することで犯罪を可能にしたのは自動車メーカーである。

検索エンジンやGPSは、犯罪者が標的の位置を特定できるようにするものだからだ。

読者にはバカバカしく聞こえるかもしれないが、フランス政府のデューロフ起訴に比べれば、これほどバカバカしいことはない。実際、まったく馬鹿げた話ではない。これは兵器化された法の運用なのだ。

ある意味、ドゥーロフの起訴は彼自身の責任である。西側のプロパガンダに洗脳された多くのロシア人と同じように、ドゥーロフはフランスがロシアよりも自由があると考え、フランス国籍を取得した。彼は過ちを犯した。

ドゥーロフに対するフランスの裁判はまた、ゲシュタポの警察国家論も反映している。この数年、西側諸国では、警察の共犯者になるのは個人の責任であり、この役割を果たさないことは犯罪行為を意味する、という歓迎される家を見つけている。

過去数十年間、西欧諸国の人々はあまりに教育が行き届いていないため、警察国家の手先となることを拒否する人々が犯罪者であるというのは、もっともなことなのだ。

ワシントン・ポスト紙はこう見ている。ソーシャルメディアが存在する唯一の正当な理由は、政府のためにスパイすることだ。ポスト紙の教養のない記者の一人は、「何年もの間、インターネット界の大物は法の上を飛び回ってきた」と書いている。https://www.washingtonpost.com/technology/2024/08/31/musk-durov-social-media-crackdown/

言論の自由を守ることがどうして 「法の上を飛ぶ 」ことになるのか?憲法修正第1条より上位にある法律があるのか?

この教化された記者は、合衆国憲法修正第1条に反する法律は有効であり、イーロン・マスクとパヴェル・ドゥーロフは言論の自由を守ることで法律に違反していると考えている。

ワシントンの『ポスト』紙は、「世界のインターネット規制当局はもはや遊びではない 」と書いている。テレグラムとXに対する取り締まりは、「米国がTikTokの禁止につながりかねない法律を可決した数ヶ月後のこと 」であり、インターネット上の言論の自由の時代の終わりを告げるもので、ポスト紙の見解では良いことだと書いている。

ワシントン・ポスト紙は、言論の自由が規制されることを喜んでいる。私の考えでは、ワシントン・ポスト紙の存在意義はすべてCIAのために物語をコントロールすることにある。

ドナルド・トランプを深追いするために、あらゆる倫理や法律に違反する体制が8年間も続いたのだから、無神経なアメリカ人ですら知っているはずだ。西側世界全体において、法律は無神経な人々に公式の物語として与えられた嘘を守るための武器以外の何ものでもなく、それを疑うことは急速に犯罪行為になりつつある。

公式シナリオの名の下に、西欧世界から真実が取り除かれようとしている。

何世紀にもわたる闘争の産物である自由な西欧世界が、ゲシュタポ警察国家へと変貌していくのを、私は生きている間に見ている。

www.paulcraigroberts.org