ペペ・エスコバル「パレスチナの悲劇:誰にとっての利益か?」


Pepe Escobar
Strategic Culture Foundation
October 23, 2023

パレスチナの悲惨な悲劇から誰が利益を得ているかは、もうすっかり明らかになっている。

現状では、覇権国が3勝、西アジアの空母国が1勝している。

最初の勝者は、大規模な二国間詐欺である株式会社戦争党である。ホワイトハウスが議会に提出した、特にウクライナとイスラエルへの「支援」のための1060億ドルの追加要求は、MICIMATT(レイ・マクガバンによる伝説的な定義によれば、軍産・議会・情報機関・メディア・アカデミア・シンクタンクの複合体)の兵器化する触手にとって天からのマナ(訳者注:聖書から;エジプト脱出後に、荒れ野に住むイスラエルの民に神が与えたとされる食べ物)である。

ウクライナに614億ドル(兵器の増産と米国備蓄の補充)、イスラエルに143億ドル(ほとんどが防空とミサイル防衛の「支援」)。

第二の勝者は、民主党が、大失敗したプロジェクト・ウクライナから避けることのできないシナリオの転換を図ったことだ。しかしそれは、2024年に予定されているNATOの屈辱を先送りするだけであり、アフガニスタンの屈辱は砂場の子供の遊びのステータスにまで低下するだろう。

第三の勝者は、西アジアに火をつけようとしている、来るべきBRICS11への対応として考え出されたストラウス系ネオコンのサイコ「戦略」と、先週北京で開催された「一帯一路フォーラム」で進められたユーラシア統合のすべて(1000億ドル近い新規インフラ/開発プロジェクトを含む)だ。

ガザを壊滅させ、エジプトへの脱出を強制し、ヨルダン川西岸を檻に変え、そして最も極端なものは、「アルアクサのユダヤ化」であり、イスラム教で3番目に神聖な場所を終末論的に破壊し、その代わりに第3のユダヤ神殿を再建するというものだ。

争いに加わる「貴族の仲良し」

もちろん、すべては連動している。ネオコン主導の「バイデン」コンボと連動するアメリカのディープ・ステートの大部分は、イスラエルのディープ・ステートと並んで新たな大当たりに乗ることができる。

しかし問題がある。この「同盟」は、グローバル・サウス/グローバル・マジョリティの圧倒的多数を、おそらく取り返しのつかない形で失った。ガザに住み、言葉では言い表せない事態に苦しんでいる、非常に教養のあるパレスチナ人は、エジプト、ヨルダン、アラブ首長国連邦のあいまいな役割を激しく非難する一方で、ロシア、イラン、そしてアラブ諸国の中ではカタール、アルジェリア、イエメンを称賛している。

以上のことは、ソビエト連邦の崩壊以来の継続性を物語っている。ワシントンは1990年にNATOを解体することを拒否し、武器化されたMICIMATTの触手の莫大な利益を守った。その論理的帰結は、グローバル・ロボコップとしてのヘゲモンとNATOが連動して、西アジアで少なくとも450万人を殺害し、4000万人以上を避難させ、その後、ウクライナで少なくとも50万人を代理殺害し、1000万人以上を避難させたことである。その数は数え切れない。

カオスと嘘と略奪の帝国とは対照的に、グローバル・サウス/グローバル・マジョリティは、ある洗練された中国の学者が「世界史の現在」の中心で「貴族の仲良し」と愉快そうに形容したものが出現しているのを見ている。

その証拠に、ウラジーミル・プーチンは「習近平を称賛することはできない。なぜなら、それはまるで私自身を称賛しているようで、恥ずかしいことだからだ」とコメントしている。

そう、プーチンと習近平は、大西洋主義の全体主義リベラル派にとっては「邪悪な独裁者」だが、親友であり、実際ソウルメイトなのだ。そのため、この中国の学者は、彼らの相互理解だけでなく、間違いなく最後の3つの主権文明国家間のますます複雑なつながりについても深く掘り下げている: 中国、ロシア、イランである。

我々の中国人研究者は、プーチンと習近平が「3つのうち2つの真の主権国家」の指導者であることを除けば、「地政学的現実について実質的に同じ読みを持っている」こと、そしてヘゲモン・マトリックスを阻止するために「正しく行動する意思と能力を持っている」ことを示している:

「彼らには理解力があり、ビジョンがあり、権力の道具があり、意志があり、そして今まさに、英米の体制から来る虚勢に明確かつ決定的な制限を加えることを可能にする有利な状況がある」

だから、彼らが恐れられ、軽蔑され、「西洋文明」に対する「存亡の危機」として描かれるのも不思議ではない。

ロシアの安全保障理事会副議長であるドミトリー・メドヴェージェフは、現実政治に目を向け、もっと露骨な評価を下している: 「米国に先導され、世界は着実に奈落の底に落ちている。決定されたことは、取り返しのつかない精神的な悪化だけでなく、残された良心のかけらさえも失っていることを明確に指し示している。これらの決断は、重大なものであれ、些細なものであれ、蔓延する社会的疾病の顕著な症状である。」

「人道に対する罪」という概念をまったく新しいレベルにまで高めようとするイスラエルの一連の暴挙は、「蔓延する社会病」の定義に当てはまる。テルアビブは、ガザ北部の文化的、宗教的、市民的足跡を消し去り、壊滅させ、住民を追放し、併合する道を歩み始めた。そのすべてが、「ルールに基づく国際秩序」とその卑しい属国によって完全に正当化されている。

西アジアを戦争に引きずり込む

イスラエルが夢見る「最終解決」と現地の事実を比較することは、常に有益である。そこで、国防、国家安全保障、法執行に関する連邦予算支出を審査する国家ドゥーマ委員会のメンバーであり、ドゥーマ国防委員会のメンバーでもあるアンドレイ・グルレフ中将を呼んでみよう。

以下がグルレフの要点である:

「イスラエルの爆撃は軍事的には何の効果もない。」

「パレスチナの武装した人々は避難所にいて、民間人は住宅で死んでいる。シリアで経験したことだが、例えばダマスカスでは、彼らは地下トンネルに座っていて、必要なときだけ出てくる。ハマスがこのようなことをしたのは、100%の準備があったからだ。ドローンが飛んでくるのを待っているのか?特別軍事作戦で経験したことだ。市街地での戦車は実質的に効果がない。」

「アメリカは中東を戦争に引きずり込もうとしている。どうやら、イスラエルとは儀礼的な関係を結ばないことに決めたようだ。」

「地中海の2つの空母群について。私の計算によれば、これらの艦船にはおよそ750~800発のトマホーク・ミサイルが搭載されており、ロシア連邦の領土のかなりの部分をカバーしている。なぜか誰もが、キンザル1発を積んだ飛行機がどこかへ飛んでいく、黒海沿いを飛んでいく、と想像しているが、すべてはもっとグローバルなものだ。まず、すべての偵察システムが一つの情報システムにリンクされ、管制地点に特定の目標指示が出される。航空機が黒海の空域に入った場合、敵の航空攻撃や防空システム、その他あらゆるものから航空機を守る支援部隊を持たなければならない。これは、アメリカの侵略者がロシア連邦の領土を攻撃しようと考えるのを抑止するための、一連の措置である。私たちの目の前には、わが国の領土の標的を攻撃することができる、万全の装備を整えた2つの空母群がある。私たちは普通に対応しなければならない。」

「中東全体が戦争に巻き込まれ、空母群がイランの領土を攻撃しようとするならば、イランは黙っていないだろう。」

国防総省のアナリストたちは、グルレフの言っていることを理解するだろう。しかし、ストラウス系のネオコンサイコは違う。

ボブ・ディランの言葉を借りれば、「長い黒雲が降りてくる」とき、経験豊かな人々の声に細心の注意を払うことは有益である。

そこで、マハティール・モハマド博士に話を移そう: 98歳(キッシンジャーではない)。成人してからの全人生を政治に費やし、その大半を重要な国(マレーシア)の首相として過ごした。

マハティール博士は本題に入る:

「問題の核心は、イスラエルによるパレスチナ人への残虐行為はすべて、アメリカのテルアビブ支援に起因しているということだ。もしアメリカ政府がイスラエルへの支援を撤回し、同政権へのすべての軍事援助を停止すれば、イスラエルはパレスチナ人の大量虐殺や大量殺戮を平然と行うことはなかっただろう。アメリカ政府は真実を明らかにする必要がある。イスラエルとイスラエル国防軍はテロリストだ。米国は露骨にテロリストを支援している。では、米国とは何なのか?」

現在アメリカの外交政策を動かしている連中に聞いても無駄だ。彼らは口から泡を吹くのをこらえるのがやっとだろう。

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