マイケル・ハドソン「超帝国主義」p.389

ニクソンがドルを金地金から切り離した翌年、アメリカ財務省のコンサルタントとして有名な自由貿易経済学者ゴットフリート・ハーバーラーは、国際収支を気にすることなく政府の目的を追求し続けるよう促した。アメリカの経済政策の第一の前提は、「アメリカのマクロ経済政策(金融政策、財政政策、『需要管理』)は、雇用、物価の安定、成長といった国内の政策目標によって導かれるべきであり、国際収支に影響を与えるために利用されるべきではない」ということだと彼は強調した。ハーバーラーは、自由市場主義に基づき、政府に対し、「輸入制限、輸出補助金、資本輸出規制、『バイ・アメリカン』政策などの管理策によって国際収支を改善しようとしてはならない。貿易赤字を無視し、受動的な国際収支政策、つまり『良性の無視』の政策を追求すべきだ。… 実際、1971年8月まで、ニクソン政権は国際収支に関して実質的に受動的な政策を追求していた。実際、ハーバーラーは、ジョンソン政権にさかのぼる『金融・財政政策の大綱』は『国際収支とは無関係』であったと述べている。」

ハーバーラーは、アメリカ経済内に金融の自己統制がないために、他国政府がドル余りから自国を守るために自国の通貨と資本市場に統制を課さざるを得なかったことを省みなかった。彼の結論は単純だった: 「アメリカはドルの価値を下げようとすべきではなく、他国が自国通貨の額面を変更し、それによってドルの交換価値を変えるに任せるべきだ。次から次へと通貨の価値が強制的に引き上げられれば、ドルはそのプロセスの最後に、切り上げられた通貨に対して低いままという、他に類を見ない見捨てられた立場に置かれることになる。そうすればアメリカ政府は、他の経済諸国が通貨を切り上げているのだから、自分たちは切り下げていない、という道徳的なポーズをとることができる。しかし、アメリカ自身がドルを切り下げれば、おそらく他の政府もそれに追随し、正味の効果は金の価値を上げるだけだろう。」